2005年1月14日(金)「しんぶん赤旗」

裁量労働制 導入事業所が急増

目立つ不適切な運用

年休取得は24%

都労働局調べ


 裁量労働制を導入した事業所が大幅に増えていることが、このほど東京労働局がまとめた調査で明らかになりました。(調査時期は二〇〇四年九月、対象は東京都内)


03年末の2.6倍にも

グラフ

 企画、立案、調査および分析の業務を行う労働者が対象の企画業務型裁量労働制を〇四年一月以降導入した事業場数は、〇三年十二月と比べ二・六倍(二百五十三事業場)に急増しています。対象労働者数は一万三千九百三十六人です。

 労働基準法「改正」(〇四年一月施行)の前と後の比較では、導入が最多の業種はIT関連産業を抜いて金融・広告業になりました。労働時間を客観的に把握せず労働者本人に報告させる「自己申告制」は、53・9%から38・0%に改善しています。

 あらかじめきめた一日の労働時間(みなし時間)は、八時間以下が44・8%をしめ、平均は八・二時間でした。実際に報告された労働時間は、多くがみなし時間より長く、最長の報告時間は二十三時間となっています。

 新製品の研究開発や情報処理システムの分析、設計などの業務を対象にした専門業務型裁量労働制は、〇三年九月と比べ36・4%増加し、対象労働者数は五万三千二百七十九人でした。

 また、東京労働局がこのほどまとめた専門業務型裁量労働制を導入する三十八の事業所に対する実態調査では、法の趣旨に反する不適切な運用が目立っています。

平均より17%低く

 労働時間の配分を労働者の裁量に委ねるのが裁量労働制の基本ですが、所定労働時間の全部または一部について出勤を義務付けていたケースは15・7%(六事業所)。対象労働者が遅刻・早退した場合、賃金カットを行っていたのは三事業所ありました。

 裁量労働制対象者であっても、仕事の進め方があらかじめきまっていたり具体的指示を受ける業務を行うときは、使用者は裁量労働制を解除し、実際の労働時間を把握しなければなりませんが、60・5%の事業所がみなし時間を労働時間としていました。

 裁量労働制対象者に対し割増賃金の支払い義務がある深夜、休日労働を把握していない事業所は、それぞれ18・9%、13・8%となっています。

 年次有給休暇では、対象者の平均取得率は24・1%で、対象事業所全体の30・2%より低くなっています。全国の平均取得率は47・4%なので、裁量労働制導入事業所は全国平均より17・2ポイントも低く、対象労働者は全国平均の半分に過ぎないことになります。


カット

 裁量労働制 仕事の進め方などを大幅に労働者に委ねる必要があるとして、実際の労働時間とは関係なく、労使があらかじめきめた労働時間を働いたとみなす制度。現実には同制度のもとで長時間労働が横行しています。具体的業務を対象にした専門業務型にたいし、企画業務型は対象業務が抽象的なため、導入できるのは本社などに限定していましたが、二〇〇四年一月からこの制限がなくなりました。



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