2005年1月14日(金)「しんぶん赤旗」

国立大の授業料

値上げは再考を

文科相に 東京の11学長が要請書


 東京都内の十一国立大学の学長が連名で要請書「国立大学授業料の値上げについて是非再考を」を二〇〇四年十二月二十一日、文科相あてに提出したことが十三日までにわかりました。その大要はつぎのとおりです。


 私たちは、平成17年度から予定されている授業料の値上げについて、次の点を考慮すべきであると考えています。

 1、国立大学法人法の国会審議においては、衆議院文部科学委員会、参議院文教科学委員会がそれぞれ付帯決議を上げ、「学生納付金については、経済状況によって学生の進学機会を奪うこととならないよう、適性な金額とするよう努めること」、あるいは「学生納付金については、経済状況によって学生の進学機会を奪うこととならないよう、将来にわたって適正な金額、水準を維持する」ことに「特段の配慮」をするよう求めていました。

 景気の回復はまだまだ不十分であり、現在の物価状況を考えるならば、学費の値上げは受験生、在学生、保護者にとっては到底理解できないものです。この措置は受験生の勉学意欲をそぐものであり、教育の機会均等をもおびやかしかねないものです。また、在学生においては学費を工面するための新たな負担が生まれる事になり、勉学への集中がとぎれる心配をぬぐえません。

 2、国立大学法人への移行に伴って各大学が教育研究の一層の発展のため懸命な努力を行っている正にその時に、授業料値上げが、唐突かつ誠に急を要するかたちで強行されることは、今後の国立大学の運営に多大な混乱を招来します。各大学の努力が報われないとすれば学内に無力感を醸成し、法人としての主体性に対してさらなる困難をもたらし、高等教育の将来に対して大きな禍根を残す事になります。

 私たちは、今回の授業料の値上げに強い憂慮の念を禁じ得ません。文部科学省はこれらの点を慎重に考慮し、授業料の値上げについて是非再考されるよう強く要請いたします。

 東京大学・佐々木毅、東京医科歯科大学・鈴木章夫、東京外国語大学・池端雪浦、東京学芸大学・鷲山恭彦、東京農工大学・宮田清蔵、東京芸術大学・平山郁夫、東京工業大学・相澤益男、東京海洋大学・高井陸雄、お茶の水女子大学・本田和子、電気通信大学・益田隆司、一橋大学・杉山武彦



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