2005年1月8日(土)「しんぶん赤旗」

知的財産高等裁判所って?


 〈問い〉 知的財産高等裁判所というものが作られたと聞きます。どんなことをする裁判所ですか?(福岡・一読者)

 〈答え〉 「知的財産」というのは、人間の知能的活動のつくりだした特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、出版権などをいいます。

 このなかで、とくに特許権、実用新案権などは、科学の最先端をいく非常に高度で専門的な技術や知識を対象とすることが多いのが特徴です。

 そのため、豊富な経験をもった裁判官、専門知識をもってこれをささえる常勤の調査官、それに各分野の最先端の専門的知識をもった非常勤の専門委員などで裁判にあたることが必要になり、その体制がこれまで政府の司法制度改革の検討会で審議されてきたものです。

 これまでに地方裁判所については、すでに東京地裁と大阪地裁に、知的財産の訴訟を担当する専門部が設置されました。全国の特許権、実用新案権などの訴訟については、この2地裁に集中しておこなうことになっています。

 知的財産高等裁判所はそれにつづいて、この2地裁の裁判の控訴審を扱うため、東京高等裁判所のなかの一機構としてつくられ、05年4月から活動を開始します。

 独立の高等裁判所としなかったのは、あまりに専門化してしまうことによる弊害の可能性を考慮したものと思われます。

 なお、著作権、商標権などの訴訟では、東京高裁管内の10の地裁にかかわる控訴審などは、この知的財産高等裁判所で扱うことになっています。

 この知的財産専門の裁判所の設置については、企業の国際競争力を確保するうえで、知的財産権をめぐる訴訟の充実、迅速化などを求める経済界の強い要求がありました。しかし、最初にのべたようなこの分野の専門性から制度化は当然であり、迅速とともに公正な訴訟運営が求められることを主張し、日本共産党も制度化に賛成する態度をとりました。

 (光)

 〔2005・1・8(土)〕



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