2005年1月1日(土)「しんぶん赤旗」

憲法をこの手に

「ここに可能性がある」

9条の大切さ 一人の人間として考える

高知 「自由民権」発祥の地から


 「自由民権発祥の地の面目(めんぼく)にかけても、全国の先頭に立って九条改悪阻止の大運動をまき起こそう」(栗原透・元社会党県本部委員長)―いま南国・高知で「九条の会」の取り組みが大きく広がっています。保守も強い土地柄である高知県で、立ち上がった人たちの思いを追いました。 中祖寅一記者


 暮れも押しつまった十二月十九日。「こうち(高知)九条の会」の結成総会が高知市高新文化ホールで開かれました。会場に用意されたいす二百八十を上回る三百五十人が全県各地から集いました。「二百人集まるか心配だったが、すごい」「発言した人も、できなかった人も、憲法と自分自身のかかわりを考え参加している」。九条への思いと改憲阻止への思いを語り合った集いに、参加者からこんな感想が出されました。

自民党の元幹部も

 なかでも参加者に大きな感動を呼んだのが、高知県連幹事長として自民党を率いた経歴もある平山公敬さんの発言でした。

 「自民党や民主党の中で憲法改正論者が増え、憲法改正スケジュールまで発表されていることに対し、私はひどく心を痛めておりました」

 参加者から驚きの声がもれました。「平山さんてここまで考えていた人だったのか…」

 「会」結成に向け東奔西走し呼びかけ人九十人以上を一人で集めた栗原氏とは、県議会で五期二十年間ともに活動した間柄。旧社会党が村山政権時代に「自衛隊合憲、安保条約容認」を打ち出したとき、“離党届をたたきつけた”栗原さんの情熱と人柄に信頼を寄せてきた平山さんでした。「九条の会」にも、「この人の言うことなら」と役員として参加しました。

 自らの思いを記者に明快に語ってくれました。

 「個人的には戦争は嫌いだったし、軍事教練も嫌いで、軍隊精神が足りないといってよく怒られた」「もはや強い軍隊で平和に備えるという時代は終わったでしょう。国民もただアメリカと一緒にやればいいという方向からは動いてきています。自民党もまた、全部がいまの流れに賛成ではないですよ。それぞれが考えること。私は自分の道を歩みます」

“いごっそう”精神

 栗原さんは「自民党の元町議の人たちなどの中にも“憲法九条改悪などとんでもない”という人たちはまだまだいる。平山さんはそういう意見を代弁した」と語ります。

 高知は、陸自幹部に改憲草案づくりを依頼した中谷元・元防衛庁長官の地元でもありますが、“いごっそう”(信念を曲げない頑固者)の精神は息づいています。

 代表のひとりで元高知市文化振興事業団専務理事の渡辺進さんは、「会」代表の顔ぶれを見て、「人間が生きていくのにここだけは譲れないという問題をみんなで考えるのが“高知の常識”。自由民権運動以来の歴史遺産です。自民党の人が参加しているのもその表れではないか」といいます。

 「それは日本をよくしていく一つの可能性を示している。一人の人間として考える―幅広い運動の広がりを心強く思います」と。



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