日本共産党

2004年12月26日(日)「しんぶん赤旗」

陸自幹部改憲案 防衛庁調査

口頭注意ですまぬ重大問題
組織的関与の疑い濃厚


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東京・新宿区市谷にある防衛庁

 防衛庁は二十四日、陸上自衛隊幹部が自民党憲法調査会の中谷元・改憲案起草委員会座長(当時)の依頼に基づき改憲草案を作成・提出していた問題についての調査結果を発表しました。「組織的関与はなかった」と断定し、「口頭注意」ですませようとしていますが、重大な問題を含んでいます。

真相解明に程遠い調査

 調査は、陸上幕僚副長を長とする調査委員会によって行われたとされています。陸幕幹部の問題を陸幕自身が調査する「身内の調査」ですませようという態度そのものが真相解明には程遠いといわなければなりません。

 しかも、問題の核心である「組織的関与」について、報告書にはまともな説明がありません。

 報告書では、中谷氏と改憲案を作成した幹部自衛官(「A2佐」)とが会ったのは「平成14年秋頃」であり、「直接会ったのはそのとき限り」で、あとは「イラク派遣に関連して3〜4回」電話しただけと強調しています。しかし、どうして一度きり、しかも酒席でしか会ったことのない人物に「改憲草案」の作成を依頼するのか。それは、「A2佐」が陸幕防衛課防衛班に所属していることと切り離しては考えられません。

 報告書自体、中谷氏が作成を依頼した「背景」として、「A2佐」が「憲法を含む法的な観点から関係省庁等と調整することを職務としていた」こと、「安全保障や国際活動、特に武器使用や武力の行使と憲法との関係に関し、優れた知見を有しているとの印象も持った」ことをあげています。

 しかも「A2佐」は、中谷氏の依頼を「勤務中に職場で引き受け」、直接の上司に「依頼があった旨話を」報告。上司も「一般的に了解したとの認識の下、『わかった。』と答え」ています。「A2佐」が中谷氏へファクスを送る際にも、「防衛班」の送信状をつけ、これも上司に報告しています。

 これらの事実からは、中谷氏は、「A2佐」が陸幕防衛班のメンバーだから一度の面識しかないのに改憲草案を依頼したのであり、防衛班側も依頼があったことを承知で「A2佐」の作業を認めていたと考えるのが自然です。いくら中谷氏からの「個人的依頼」を強調しても、陸幕防衛班の「組織的関与」の疑いは濃厚になるばかりです。

自衛隊幹部に憲法改悪志向

 また、依頼を受けた「A2佐」の側が「日米軍事協力の指針(ガイドライン)」やイラク特措法などを担当するなかで、「憲法問題についての問題意識の積み重ねを持っていた」「(1)憲法改正に際し、安全保障面でどのような事項を考察すれば良いのか、(2)国際活動において現行憲法の枠組みで制約がある事項に関し、憲法改正によって、どのような内容が可能となるのか…問題意識の積み重ねに基づき対応可能と考えた」としていることも重大です。

 「A2佐」は「憲法改正によって、具体的に何ができて何ができないか整理することは、自分にとっても意味のあることだ」という認識を持っていたともされています。

 ここには、自衛隊幹部が違憲の海外派兵や米軍との共同作戦計画の作業を積み重ねる中で、九条改憲の志向をもつに至ったことが浮き彫りにされています。

 報告書は、幹部自衛官の「憲法尊重擁護義務」について、「憲法の定める手続きによる憲法改正の内容について検討・主張するものである限りにおいては、これを個人の立場で行っても、公務員の立場で行っても、憲法第99条との関係で直ちに問題が生ずるものではない」などとしています。これでは、自衛官が改憲について「検討・主張」することに、逆にお墨付きを与えかねません。

 今回の問題の重大性は、違憲の軍隊である自衛隊の幹部が、憲法問題という国政の根幹に介入しようとしたことです。憲法の想定外ともいうべき異常事態です。しかも、改憲案の内容は、みずからを合憲化し、海外での武力行使を可能とする集団的自衛権の行使まで踏み込むなど、憲法の平和主義を真っ向から踏みにじるもの。「問題が生ずるものではない」とすることなど許されません。

 藤田健記者



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