日本共産党

2004年12月25日(土)「しんぶん赤旗」

“スポーツ人は戦争しない”

スポーツ「9条の会」結成

東京 各界の関係者集う


 「戦争をしない国」のスポーツマンとして憲法9条を守る共同の輪を広げよう――スポーツ「9条の会」(略称=スポーツ9)の発会式が24日、東京都内で行われ、30人をこえる各界のスポーツ関係者が集い、平和憲法を守るスポーツマンの思いを結集しようと、呼びかけ文(別項)を発表しました。


写真
スポーツ「9条の会」発会式で呼びかけ人を代表して報告する川口智久・一橋大学名誉教授(左から3人目)

 同会は、日本国憲法と9条を守る「九条の会」のアピールに賛同し、スポーツ分野でその意志を広げ、活動することを目的に結成されました。

 発会式では、呼びかけ人を代表して川口智久・一橋大名誉教授があいさつ。「スポーツは今日、わたしたちの生活に欠かすことのできない文化として定着しています。その大事な文化をより大きく発展させるためにも、スポーツを破壊する戦争に反対し、平和憲法・9条をしっかりと守り育てていかなければなりません。スポーツは戦争だ、という人もいますが、スポーツ文化の中身をまったく理解していません。平和とスポーツがいかに固く結びついているか、それを広めていく使命がわれわれにはあると思います」と訴えました。

スポーツ「9条の会」連絡先

▽事務所 〒170-0013東京都豊島区東池袋3の9の15ワイムティハイム2F新日本スポーツ連盟気付スポーツ「9条の会」

▽電話 03(3986)5402

▽メールアドレス
sports9@infoseek.jp

▽ホームページ
http://sports9.hp.infoseek.co.jp

 出席した呼びかけ人や参加者は、平和への熱い思いを語りました。スポーツ・ジャーナリストの大野晃さんは「これまで国が戦争に向かうとき、スポーツは利用されてきた。それを二度とくり返してはならない。今年のスポーツ界をみると、プロ野球の球団合併問題のように選手がみずからの要求を実現するために動き始めた。これは地殻変動ともいうべきものだ。この会も、従来のスポーツの有り様そのものを変えていくような大きな運動にしていきたい。スポーツ人は戦争をしない、という決意を示そう」と発言しました。

 今後の活動や運営について提案があり、当面の活動として(1)スポーツ関係者に「呼びかけ」の賛同者をひろげる(2)宣伝活動にとりくむ(3)集会やシンポジウムの開催などを決めました。


 スポーツ「9条の会」呼びかけ人 荒木豊(山梨大名誉教授)、石川正士(法政二高元教諭)、伊藤高弘(武蔵野美術大教授)、円道幸男(神奈川県ソフトボール協会理事)、大貫映子(レジャー・スポーツアドバイザー)、大野晃(スポーツ・ジャーナリスト)、岡本ゆり子(東京都立高校元教諭)、川口智久(一橋大名誉教授)、栗岩恵一(アルペンスキー・ワールドカップ元選手)、小西和人(『週刊釣りサンデー』元会長)、小林秀一(プロボクシング第41代日本ウエルター級チャンピオン)、長尾正二(新日本スポーツ連盟会長)、中森孜郎(宮城教育大名誉教授)、西本武志(日本勤労者山岳連盟前理事長)、正木健雄(日本体育大名誉教授)、松延市次(剣道教士七段)、森敏生(学校体育研究同志会全国常任委員長)



「戦争をしない国」、憲法9条を持つスポーツマンとして

 「日本国憲法は、いま、大きな試練にさらされています」――2004年6月10日に井上ひさし、梅原猛、大江健三郎、奥平康弘、小田実、加藤周一、澤地久枝、鶴見俊輔、三木睦子さんの9氏による「九条の会」から発せられました。

 このアピールは、戦争放棄と戦力を持たないことを誓った日本国憲法のもとで、これまで世界の平和に貢献してきたにもかかわらず、その9条を中心に憲法「改正」の動きが出てきたことを危惧し、日本と世界の平和な未来のために日本国憲法を守る一点で多くの国民が手をつなぎ、「改憲」を阻む努力をしようと強く訴えています。

 スポーツにとって、戦争のない平和な世界こそが活動と交流の最大の保障であるだけに、私たちスポーツマンはこのアピールを真剣に受けとめたいと思います。

 かつての侵略戦争の時代にはスポーツは敵性文化として敵視され、その一方では、「戦技」として教練や戦争の道具に変質させられました。また、多くの前途有為のスポーツマンたちが活動を停止させられ、尊い命を落としました。暴力で平和を破壊した戦争はスポーツの自由を奪い、その進歩・発展を止めてしまいました。

 戦後、この苦い轍(てつ)を繰り返してはならないと決意したわたしたちスポーツマンの先輩諸氏は、平和・自由・人権を根本精神とする日本国憲法の実践者として尽力し、今日のスポーツ交流と発展の土台を築いてきたのです。いま、私たちがスポーツのできる幸福を実感できるのも、その基礎に「戦争をしない国」を宣言した憲法とその保障にむけた幾多の努力があることは間違いありません。

 21世紀の新しい世界が開いたいま、平和のもとで交流する意味をあらためてかみ締めるときではないでしょうか。さきのアテネ・オリンピックは世界の人びとがスポーツを通じて平和に交流する姿を映し出しました。ここに私たちスポーツマンは大きな確信を抱き、新しい世紀を戦争のない平和で豊かな世界にしていくために、その一員として力を尽くしていきましょう。

 とりわけ、「戦争をしない国」の憲法9条を持つ日本のスポーツマンが平和のために声をあげて行動することは、大きな意味のある大切なことです。「九条の会」のアピールに賛同する私たちは、ここに「スポーツ『9条の会』」(略称「スポーツ9」)をおこし、広く国民とともに「戦争をする国」に逆戻りさせない運動に合流していきたいと考えます。

 私たち「スポーツ『9条の会』」は、スポーツを愛好するすべての人びとに、「戦争をしない国のスポーツマン」として憲法と9条を守る平和の思いで共同し、そのために、それぞれが持てる力を大いに発揮することを心から呼びかけるものです。

 2004年12月24日

 スポーツ「9条の会」呼びかけ人一同




 スポーツ「9条の会」発会式に呼びかけ人から寄せられたメッセージ(要旨)を紹介します。

平和を守り育てて

学校体育研究同志会全国常任委員長 森敏生さん

 学校体育研究同志会は戦後の民主教育・民主体育の確立をめざしてつくられ、来年には創立50周年を迎えます。規約前文の筆頭では「日本国憲法と教育基本法の精神を、平和、独立、民主主義の社会建設をめざす国民教育の基軸とし、科学的かつ創造的な実践と研究を行い、日本の子どもたちの明るい未来を築きあげていくことを誓う」と、うたっています。

 わたしたちは「平和の文化」としてスポーツ文化を継承・発展・変革・創造していく文化実践に体育を位置づけてきました。同会を代表する者として、呼びかけに賛同し、スポーツを愛好する人たち、スポーツを指導する人たち、スポーツを学ぶ人たちなど、あらゆるスポーツにかかわる人たちに対して、平和を守り育て発展させる活動をさまざまな場において展開することを、平和な文化活動の意味や値打ちを広く発信することを、そして憲法と9条をとりくみの礎にすることを呼びかけたいと思います。

人として戦争反対

レジャー・スポーツアドバイザー 大貫映子さん

 スポーツ人である以前に、人として親として絶対に戦争はいかなる理由があろうとも反対です。いろいろな理由をつけて憲法9条が危うくなっている今、本当に声をあげていかないと! と危機感を感じています。

 「海や川は国と国とを隔てているのではなく、つなげているもの」…泳いだり、帆船に乗ったり、川をカヌーで下ったりしながら旅をした経験からの実感です。世界から武器がなくなり、皆がささやかでも楽しい日々を暮らせることを強く願っています。



もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp