2004年12月19日(日)「しんぶん赤旗」
大手総合家電メーカー、三洋電機の子会社「新潟三洋電子」(同県小千谷市、従業員千五百人)が新潟県中越大震災の被害で操業停止となり、請負社員や契約社員約五百人の契約を打ち切り、多くの失業者が出ています。「失業手当ももらえず、退職金三万円だけ」という訴えを聞いた日本民主青年同盟が行政指導を国に求める活動をおこなっています。
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同社は大震災の影響で生産ラインがとまり、復旧にあたっていますが、再開のめどはたっていません。このなかで同社は、正社員四百九十人を今年いっぱい自宅待機にしました。正社員の基本給は六割支給で、残業代など手当がなくなり大きな打撃となりました。さらに百七十人を代替生産の応援として群馬、岐阜の両工場に配転しました。
請負や派遣社員、バイトなど非正規社員の仕事が真っ先に奪われました。
同社の請負会社「新潟新光電機」は十一月十五日付で契約社員百五十人の契約を打ち切り事実上「解雇」しました。震度7を記録した川口町に住む契約社員の男性(20)は、同社から契約打ちきりを言い渡されました。
男性の自宅は柱がゆがみ、土台が十センチも浮いている状態になり、住宅被害認定で「大規模半壊」と判断されました。自宅の復旧に不安を抱えているときに「解雇」されたこの男性は、日本民主青年同盟が取り組んでいる青年ボランティアの聞き取り調査にたいして、失業手当ももらえず、退職金の三万円だけなどの実態を訴えました。
小千谷市に住む契約社員の男性(24)も三洋電子の別の請負会社から契約打ちきりとなりました。自宅の内装や壁が壊れ、柱が傾く大きな被害を受けました。そのうえに職を失うダブルパンチ。「(三洋電子の)正社員になるなど安定した仕事に就きたい」と話しています。
訴えを聞いた日本民主青年同盟と同新潟県委員会は、こうした被災地の雇用実態を調査して被災地から青年の代表を「12・12全国青年大集会」に派遣。対政府交渉で、小泉総理、厚生労働大臣に、(1)請負、派遣、パートで働いている青年労働者を安易に解雇、契約打ちきりをしないよう指導する(2)休業状態になっている労働者に雇用調整助成金の弾力的活用で手当を支給するなどの支援を行う(3)震災で失業した場合の一時金や、解雇予告手当を補償できるように行政指導する――などの要請文を提出しました。
日本共産党の佐藤勝太郎小千谷市議の話 三洋電子は、格安な都市ガスを使い、工業用水道使用では行政から便宜をうけています。固定資産税も減免されて手厚く保護されています。被害を一方的に労働者に強いることのないよう企業の社会的責任を果たすべきです。
三洋電機広報の話 新潟三洋電子従業員の雇用維持については最善を尽くしたいと考えております。そのためには、早期復旧により工場が正常稼働することが前提で、現在全社一丸となって生産再開にむけ全力で取り組んでいる状況です。