2004年12月19日(日)「しんぶん赤旗」
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【ブリュッセル=浅田信幸】欧州連合(EU)とトルコが十七日、トルコのEU加盟交渉開始で合意したことを受け、EU議長国オランダのバルケネンデ首相は同日の首脳会議閉幕記者会見で「われわれは本日、歴史を記した」とその意義を強調しました。
トルコのエルドアン首相は、EUとの交渉目的が「トルコの完全なEU加盟」と明記された事実を指摘し、「百パーセントではないが成功といえる」とこの合意を歓迎。その一方で、加盟条件と無関係な「新しい条件」が押し付けられたと不満を表明しました。
EU二十五カ国首脳は十六日深夜、加盟交渉開始を決定しました。しかし、トルコは、その前提条件としてEUが要求したキプロス共和国承認に強い不満を表明。バルケネンデ首相が十七日未明から三度にわたってエルドアン首相と会談するなど、ぎりぎりまで厳しい交渉が続きました。
最終的には、トルコが来年十月三日の加盟交渉開始までに「事実上」キプロス承認に通じる措置を講じることで妥協が成立しました。ただその承認が「正式」なものでないことで今後の交渉進展で再び問題となることも予想されます。
キプロス キプロスは一九七四年、ギリシャが介入したクーデターとトルコの派兵で南北に分裂しました。国際社会で承認されているのは南側のキプロス共和国。同国は今年五月EUに加盟しました。北キプロス・トルコ共和国を承認しているのはトルコだけ。ここにはいまもトルコ軍が駐留しています。EUは今年五月までのキプロス再統合をめざしていましたが果たせませんでした。EUは、加盟国であるキプロス共和国を承認せずに加盟交渉に入ることはありえないとして、トルコに承認を迫っていました。 |