日本共産党

2004年12月19日(日)「しんぶん赤旗」

住民利益を守って

日本共産党員の市町村長が語る


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《データ》
2004年6月3選
人口約7万7000人
議会定数23
党議員6人


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夢のあるまちづくりへ

東京・狛江市長  矢野 ゆたかさん

 新潟県の中越地震が発生したときに、孤立した川口町に一番先に救援にかけつけたのが自衛隊や県ではなく、二百キロ離れた狛江市だったと報道され、注目されました。市民からは「市を誇りに感じた」という声が寄せられています。

 川口町とは友好都市として交流があり、被災したとき「あの人は大丈夫か」と、わがことのように感じ、寸断された道路を越えて現地に入るなど、迅速な行動をとり支援活動の広がりをつくれたのだと思います。現在狛江の地域防災計画を見直していますが、百人近い職員が、救援や復興の活動を現地で経験したことは、貴重な財産になっていくと思います。

市民、職員の工夫

 新年度予算を編成中ですが、政府の「三位一体の改革」で、国からの交付金などが昨年度より八億円以上も削減されるなど、厳しい財政状況に直面しています。これまで以上に財政基盤の確立に努めなければなりませんが、社会的に弱い立場の人びとを守ること、子育て支援、市民の安全や健康のための施策などを前進させるため、ぎりぎりの努力を重ねています。

 乳幼児医療費無料制度は、毎年一歳ずつ所得制限を緩和して四歳児まで所得制限なしですが、新年度は一気に就学前まで所得制限を外し、市民健康審査のミニドック受診枠は拡大したいと、一生懸命頑張っているところです。

 地方財源が削減されている中でも、市民サービスを維持し発展させるためには、市民や職員の持つ力を発揮してもらうことが大事だと考えています。この間実施してきた、市役所窓口の日曜・夜間の試行開設、市内循環福祉バスの運行、商店の宅配サービス制度拡大、学校や地域の防犯パトロールなどは、市民協働、職員の創意工夫から生まれてきた成果です。

 こうした力をさらに大きくするために、情報公開や市民参加を推進してきました。庁議や行革本部などの概要も公開していますし、「市民参加と市民協働の基本条例」も制定し、市民参加もさまざまな分野で広がっています。「市民が主人公」のまちづくりこそ、財政の厳しさを乗り越え、自立した自治体に進む道だと確信しています。

進む「音楽の街」

 六月の市長選で三期目に入りましたが、その目標として“狛江らしさ”のあるまちづくりを進めています。その一つが「音楽の街―狛江」ですが、音楽関係者のあいだで大きな反響が広がっています。

 著名なオペラ作曲家で音楽プロデュースもされている市民が、狛江での公演を提案してくださったり、ピアニストの方が川口町への支援を「音楽の街」らしくやりたいとチャリティーコンサートを企画するなど、心強さを感じています。

 地方自治体にとって、いま苦難の時期だといえます。財政問題を抜きに市政運営を語ることはできませんが、だからこそ市民と一緒に夢のあるまちづくりに向かって頑張っていこうと思います。

 聞き手・東京都 長沢宏幸記者


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《データ》
2004年5月初当選
人口約1万1000人
議会定数16
党議員1人


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合併後の災害復旧に力

兵庫・出石町長  奥村 忠俊さん

 出石町は、台風23号来襲で、大きな被害を受けました。町の中央を流れる出石川の堤防が決壊し、四十五年前の伊勢湾台風をしのぐ災害となりました。

 私はもともと、町民への情報公開が大事だと思っていますが、今回の台風でも住民のみなさんに安心してもらうために、情報を伝えることを重視しました。

防災無線で毎朝

 防災無線を使って毎朝九時から約三分間、被害場所の様子や復旧工事の進み具合、国・県への要請のもようなどを、私の訴えとともに伝えました。台風直後からほぼ一カ月間続けました。多くの町民が、時間になるとテレビの音を消して無線のスピーカーの前で待っていてくれました。すばやく広く、住民に情報を伝える大切さを実感しました。

 合併問題についても、市町長会の決定や私が主張した内容を「町長からの合併情報」として配布し、これもよく読まれています。

 出石町は来年四月、豊岡市、城崎町、竹野町、日高町、但東町と合併し「豊岡市」になります。

 最後の町長として五月に当選させていただきました。住民から出された要求や課題を一気に実現しようとしていた矢先の今回の災害です。任期はあと百日余。やはり災害復旧が第一です。

 私は市町長会で二つの条件を出しました。一つは、災害復旧にかかわる職員数の確保です。各分野の専門知識を持つ職員を減らすのは認められないということです。もう一つは、合併に際して各市町が持ち寄る基金の一部を災害復旧に使わせてもらうことです。両方とも認めてもらいました。

 私は「町の主役は住民。その住民が困っているときに、行政の都合を優先させてはならない。復旧の保証ができるかどうかを、これからの行政執行の出発点にすべきだ」と訴えました。

共産党員だから

 出石には年間百万人以上が観光に訪れます。合併後も“出石ブランド”を維持し、一番元気で個性ある地域として発展させていきたい。そのためには、プライドをもって「この町はわしらが支え、背負っている」と住民みんなが思えるまちづくりが大事だと思っています。

 当選以来、いつも考えているのは、住民の利益を守りぬくことです。町内を走り回り、なにかあったら現場へ行って直接話を聞かせてもらいました。災害復旧についても、合併後も国・県に要望する道筋を在任中につけておきたいとがんばっています。要望するときは、「これが足りません。これをしてください」とはっきりものを言おうと心がけています。

 住民の利益第一に、だれにも遠慮せず、どこに対してもはっきりものが言えるのは、日本共産党員だからこそです。

 聞き手・平岡賢記者



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