2004年12月18日(土)「しんぶん赤旗」
明石歩道橋圧死事件の判決を受けて同事件の遺族原告団の下村誠治団長や弁護団は十七日午後、神戸市中央区の弁護士会館で記者会見し、判決や今後のたたかいなどについて見解を示しました。
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当時二歳の智仁ちゃんを亡くした下村団長は「私たち大切な家族を亡くした遺族にとって、その代償になる刑はありません」とのべたうえで判決について「明石署の元署長、副署長の責任についても厳しく指摘した。私は正義はないと思っていたが、まだ司法にすこし正義が残っていた。今後の活動に大きな力をもらった」とのべました。
別の遺族は「明石署の元正副署長を起訴してもらえるようにできるだけのことをしたい」と話し、「大将たちを逃がして足軽を捕まえてどうなるか。有罪判決を受けた五人は検察、県警、警察庁を含めた上級にこの事件の影響がいくことをくいとめた。防波堤の役割を果たしたのではないか」と皮肉を込め、検察審査会の「起訴相当」の決定を拒否して署長、副署長を不起訴処分にした神戸地検に激しい怒りを表明しました。
弁護団の渡部吉泰弁護士らは「市民の安全を守ることを軽視した警察がが断罪された。検察の起訴、不起訴の判断そのものが断罪された。検察は(事件)当日だけに限定したが、判決は準備段階からの責任を問うている」と判決を評価。しかし、「明石署の正副署長が起訴されなかったために事実解明の機会を奪われた」とのべました。
遺族は同日、事故現場の明石歩道橋を訪れました。
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明石歩道橋圧死事件の神戸地裁判決を受けて「明石花火大会歩道橋事故遺族原告団」(下村誠治団長)は十七日、声明文を発表しました。
声明文は判決について、事故原因の解明と責任の明確化という観点からみて「なお不十分と評価せざるをえない」としています。そうなったのは「そもそも神戸地検が明石署元署長永田裕、明石署元副署長榊和晄を不起訴とし、公訴事実を当日の現場担当者の現場での過失に限定したことに原因があ」ると指摘。当時の署長、副署長を不起訴にした神戸地検をきびしく批判しています。
「事故の主要な原因はずさんな雑踏計画にあったことは明らか」として、その最高責任者の刑事責任を問わない刑事裁判を「主犯格なき裁判」であるとし、「神戸地検のゆがんだ姿勢」を告発しています。声明は、ひきつづき事件の本質を明らかにするために全精力を傾注していく決意を表明しています。