日本共産党

2004年12月17日(金)「しんぶん赤旗」

英政府は全面調査せよ

首相に 著名46氏が公開書簡

イラクでの民間人死傷者数

米英民間団体が運動


 英国の医療専門家団体「MEDACT」と英米両国の研究者でつくる「イラク・ボディー・カウント」は十四日までに、米国とともにイラク占領を続ける英政府に対し、イラクでの民間人死傷者についての全面的な調査を求める運動を開始することを明らかにしました。その第一弾として両団体は、英国の著名な元外交官、上院議員、医療専門家、宗教家、作家、学者四十六人が署名したブレア英首相への公開書簡を発表しました。

 公開書簡は、英政府に対し、二〇〇三年三月の米英軍侵攻以来のイラク人の死傷者について独立した調査委員会による調査を求めるもの。「英医学雑誌『ランセット』に公表された研究では死者が九万八千人に達するとの報告があるが、政府はこれを否定するだけで独自の調査を行っていない」と批判、「英政府には国際人道法上、民間人を保護する義務がある」として、「死者や負傷者の状況を把握」するよう要求。「政府から独立した機関が、科学的根拠があり全当事者が信頼できる方法で調査を行い、議会と一般市民にその結果を定期的に報告する」よう求めています。

 イラク・ボディー・カウント設立者のジョン・スロボダ氏は「英政府はイラクでの死傷者数をつかむ努力をまったく行わないで、信頼できる数字は得られないといっている。イラクの病院、遺体収容所、その他の機関からの情報と、報道機関や軍の情報などを総合すれば、正確な数字が得られる」と述べ、英政府の怠慢を非難しました。

 またMEDACT理事のマイク・ロウソン氏は「死傷者数のデータは兵器の住民への影響を評価し、負傷者治療の計画を立てるためにぜひとも必要なもの」だと強調しました。

 公開書簡に署名したのは元英空軍中将でロンドン・キングスカレッジ客員教授のガーデン上院議員、英国教会コベントリー主教のコリン・ベネッツ師、英イスラム教徒会議事務局長のイクバル・サクラニー氏などです。


 MEDACT 朝鮮戦争時の一九五一年に英国で設立された戦争防止医学協会と八〇年に設立された核兵器反対医学運動が九二年に統合して発足。核戦争防止国際医師会議英国支部としても活動しています。

 戦争と兵器の問題だけでなく国際的な貧困や環境の健康への影響にも活動を広げています。イラク戦争開戦前の二〇〇二年十一月、開戦後の〇三年十一月、今年十一月の三回にわたって同国の医療状況についての報告を発表しています。


 イラク・ボディー・カウント 二〇〇三年三月の米英軍のイラク侵攻に当たり、英米両国の研究者が開始した民間人の死者数を集計するプロジェクト。  民間人の死者数を記録、公表することで世論を喚起することを目的にしています。各国のメディア、人権・援助団体の報告や軍当局などの公式発表などを照合して数字をウェブサイトで公表しています。



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