日本共産党

2004年12月9日(木)「しんぶん赤旗」

自衛隊の派兵延長は世界に逆行

イラク撤兵の流れ 一目りょう然

派兵37カ国中、継続は20カ国


 小泉自公政権は九日にも自衛隊のイラク派兵延長を閣議決定しようとしています。これはイラクからの撤兵が加速している世界の流れに完全に逆行するものです。 伴安弘記者


イラク派兵国の状況

看板の欺まん

 米英の不法なイラク侵略戦争を支持した国は国連加盟百九十一カ国のうち四十九カ国、うち、派兵国は三十五カ国という少数派でした。その後派兵を決めた日本とトンガを加えても三十七カ国にすぎません。

 この三十七カ国中、米英とともに開戦の中心国だったスペインをはじめ七カ国がすでに完全撤退しました。十人の連絡要員のみを残すノルウェーや、いったん撤退し一部人員を再派遣したシンガポールなど、部隊を削減または削減を予定している国が三カ国、さらに撤退を表明ないし検討している国は七カ国に及んでいます。駐留を基本的に継続する国は日本を入れても二十カ国にすぎません。当初の派遣国数からほぼ半減しています。

 撤退国、撤退表明国が相次いでいるのはイラク戦争・占領が大義のないものであることがますます明らかになっているからです。三月のスペイン総選挙でイラク撤退を掲げて勝利し、首相就任後、その公約を実施したサパテロ社会労働党党首は「イラク戦争は失敗だった」「憎しみと暴力、恐怖を拡散させただけだ」と戦争を厳しく批判しました。

 自国民が人質にとられ撤退を迫られたフィリピンのアロヨ大統領は「国民の命を守ることが国益」として撤退を決断。広範な国民の支持を受けました。

 中南米では四カ国が派兵しましたが、三カ国が完全撤退し、残るエルサルバドルも撤退を検討しています。同国では平和団体・派遣兵士家族らが撤兵を要求して運動を強めています。行動を指揮するコルネホ神父は「私たちはだまされてきた。復興のためといわれたのに(派兵部隊は)占領軍になっていた」と、復興支援という看板の欺まんを追及しています。

死傷者が増加

 「多国籍軍」の死傷者が増えていることも派兵国で撤退を求める動きに拍車をかけています。今月七日現在、米兵の死者は千二百七十五人(戦闘での死者は千人)、英兵七十一人に達し、他の派遣国でも六十九人の死者がでています。

 イラクの民間人の死者は米軍が十一月八日から開始したイラク中部ファルージャに対する軍事攻撃以前の推定でも十万人とされます。この攻撃は多国籍軍の任務が復興・支援ではないことをいっそう鮮明にしました。現在も続いているこの攻撃で、四月のファルージャ攻撃での七百人の死者を大きく上回る数千人の死者(二千―三千人。六千人という見方も)がでています。国際人道法を侵害したこの蛮行にアラブ諸国をはじめ、緊急の抗議集会が開かれた英国などで厳しい非難の声が上がっています。

占領軍の自衛隊

 米軍は来年一月末のイラク暫定国民議会選挙に向けて部隊増派を開始し、十五万人体制にする計画です。英国も同様に千人を増派する計画だと報道されています。派兵継続国が少なくなり、派兵人員も百人やそれ以下の国が多数という状況の下で、自衛隊が、増強される米英侵略軍を補完する性格をもつことが浮き彫りになっています。

 イラク戦争に反対したフランスやドイツはイラク派兵は問題外との立場を崩していません。フィッシャー独外相は「西側の軍はイラク人から常に占領軍とみなされる」と語っています。シュレーダー独首相は三日、イラクのアラウィ暫定政府首相との会談で、派兵の意思のないことを改めて表明しました。

 イラク国内では自衛隊の駐留に対する反発が強まっています。十一月十四日には自衛隊が駐留するイラク南部サマワで「占領軍の自衛隊は出て行け」と叫ぶ約二百人のデモが行われました。イラク南部で有力なイスラム教シーア派のサドル師の報道官は「自衛隊の撤退を求める意見はサドル師勢力すべてのものだ」と本紙に述べています。

 小泉首相は、派兵延長がイラクの「復興支援」のためで、それが日本の「国際貢献」だと言いますが、いまイラクで米軍などが行っているのは、復興ではなく戦争の継続です。しかも、イラク戦争・占領を非難する国がますます増えている状況で自衛隊駐留を継続することは、日本が占領に反対するイラク国民の意思を踏みにじり、侵略者・米国への加担を強めることを意味しています。



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