日本共産党

2004年12月9日(木)「しんぶん赤旗」

主張

初の少子化白書

未来を見すえた具体策が要る


 政府が初の「少子化社会白書(二〇〇四年版)」をまとめました。

 出生率が低下し、子どもの数が減少する「少子化」という言葉は、一九九二年度の国民生活白書から使われてきました。戦後最低の出生率(八九年)にたいする社会の驚きを示した「一・五七ショック」(九〇年)を受けたものです。

 今年九月の内閣府の世論調査では、一・二九(〇三年)といった低い出生率が続くことで日本の将来に危機感を抱く人が、国民の約八割にのぼっています。

背景分析を多方面から

 遅すぎるとはいえ、少子化の現状や対策を年次報告としてまとめることは当然です。

 しかし、対策は、本腰の入ったものとはいえません。端的な例が、第二次ベビーブーム世代の女性が出産期に当たる二〇一〇年ごろまでの今後五年間を「少子化の流れを変える好機」と位置付けたものの、長期的な見通しがないことです。

 六〇年代以降、日本に先んじて出生率の低下に直面した欧州各国では、四十年間にわたって、少子化傾向との格闘が続いています。国としてさまざまな積極的な対策をとって少子化傾向に歯止めをかけています。白書のように、特定の年代層に期待をかけ、それ以降は出生率の回復の機会も「続かない」とあきらめてしまっては、未来を見すえた展望ある対策を示すことはできません。

 白書は、少子化の原因や背景として、仕事と子育ての両立支援策の遅れや、育児・教育費負担の重さ、長時間労働、フリーターなど低賃金の若者の増大などをあげています。結婚や出産に対する価値観の変化などにとどめず、多方面から分析する姿勢は大事です。

 たとえば、初産で、仕事を継続する女性は三人に一人。「仕事」か「出産・育児」かという二者択一しかできない現実は、女性の自立やキャリア形成、収入を考えた場合、結婚に対する消極的な姿勢を生み出すと分析します。また、結婚しない理由として経済的困難をあげる男性が増えている。フリーターの年収では子どもを育てることは相当に厳しいとも、白書は指摘します。

 しかし、それを変える具体策となると、展望が出てきません。

 白書が第一にあげるのは、男性を含めた働き方の見直し、多様な働き方の実現です。たしかに、仕事と子育てを両立させるためには、子育て期の残業を減らしたり、育児休業をとりやすくする措置は必要です。しかし、白書がいう「多様な働き方」とは、正社員を減らしながら、パート、アルバイト、派遣など不安定な雇用に切り替えていくという、大企業が進めている働き方です。

 “フリーターの増加は若者の結婚にマイナス要因”と分析するなら、非正社員化を促進する政策を抜本的に改めるべきです。

本気で克服するには

 日本共産党は、少子化社会を克服する努力の方向として以下の四点を提案しています。(1)長時間労働をなくし、家庭生活との両立ができる働き方にする(2)若者に安定した仕事をつくる(3)男女差別・格差をなくし、女性が働きつづけられる、力を生かせる社会にする(4)出産・育児と仕事の両立を応援し、すべての子どもに豊かな乳幼児期を保障する。

 これらは、白書の分析からも引き出すことのできる方向です。初の白書が、安心して子どもを生み、育てることのできる社会にしていく機会となることを願ってやみません。


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