日本共産党

2004年12月4日(土)「しんぶん赤旗」

衆院憲法調査会での

山口議員の発言(要旨)


 二日の衆院憲法調査会での日本共産党の山口富男議員の発言(要旨)は次の通りです。


 この秋の調査会は、二つの重要な論点を示したと思います。

 一つは、憲法九条と海外での武力行使をめぐる問題です。

 中央公聴会で宮沢喜一元首相は、「この憲法が二十一世紀に生きていける憲法であってほしい」として、「どういうことがあってもわが国は海外で武力行使をすべきではない」とのべました。長年、国政に携わってきた方の発言としてきわめて重い意味を持つものです。

 また、同じ日に環境NGO代表の浅岡美恵参考人も「国際協力のための九条改正といいますのは、侵略ととなり合わせとなりますので、このような改正は慎重に」と発言しました。

 こうした意見が一つの流れとなった背景には、イラク戦争と米軍などによる民間人攻撃、自衛隊のイラク派兵という一連の事態を前に、憲法九条と日本の歩みと現状を考えた一つの結果であり、より根本的には九条を守れという世論がひきつづき多数であるからです。

 私自身、「日本や世界の未来を担う大学生が、将来、日本の憲法九条を誇りにして世界で活躍することを望んでいますし、私以外の若い学生も同じように望んでいることを信じたい」という、若い学生の方の言葉に接して、胸を打たれました。

 第二の重要な論点は、立憲主義の問題です。

 関西大学の村田尚紀公述人は、立憲主義について「憲法による権力の拘束、憲法に基づく政治の原則」と特徴づけ、人権尊重主義、国民主権、平和主義にそくした憲法の民主的運用を行うよう強調しました。

 そして、村田氏は「日本国憲法は民主的、かつ立憲主義的な解釈運用を受けているとは言えない」として、「必要なのは(憲法の)改正ではなくて、そのような解釈、運用であると考えます。日本国憲法は決して寿命が尽きたわけではなく、むしろまだ使いこなされていないと考えます。現実に合わないから憲法を変更するというのはきわめて安易で、倒錯した考え方」とのべました。

 こうした指摘を踏まえれば、憲法の先駆的な内容を明らかにする調査とともに、立憲主義の立場からの日本の現実政治の点検がきわめて重要な調査になると思います。

 憲法の平和主義と立憲主義を守れという意見は、参考人質疑、公聴会など今年の調査会の通奏低音だったと言ってもよいと思います。

 調査会は、調査の機関であって、憲法改定案のための作業をするところでも、改定を前提に議論するところでもありません。議案提案権を持たないことを確認して発足している以上、調査機関としての立場を貫くことが立憲主義の見地からの当然の要請です。

 今必要なことは、憲法の改定ではなく、憲法を土台にして現実政治を改革すること、そして、二十一世紀の日本の国づくりに、平和、人権、民主主義の憲法原則を生かし、具体化することです。二つの重要な論点の提示は、そのことを示したものだと思います。



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