日本共産党

2004年11月30日(火)「しんぶん赤旗」

建物より下を米軍機

兵庫

「ぶつかる、身伏せた」

パラグライダーとニアミスも


 米軍機の低空飛行訓練は、今どうなっているのか。「危ない!米軍機低空飛行訓練・中止を求める兵庫県集会」実行委員会が、今月半ばに兵庫県内で実施した現地調査に同行しました。山崎静雄記者

無法!低空飛行

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 米軍の低空飛行訓練は、他国を侵略するさい、相手国のレーダー基地や対空ミサイル基地を、低空から侵入して破壊するための訓練です。

7本のルート

 在日米軍は、明らかになっているだけでも日本全国で七本の訓練ルートを設定しています。

 いかに危険な訓練であるかは、一九八七年八月の奈良県十津川での林業用ワイヤロープ切断事件、九九年の高知県早明浦ダムと岩手県釜石市での相次ぐ墜落事故などによって明白です。

 広島県西部から兵庫県中央部に至る「ブラウンルート」も住民を苦しめているルートの一つです。米軍岩国基地東側の広島県千代田町付近から兵庫県生野町付近まで約二百四十キロ。岩国基地の海兵隊航空機や米空母が横須賀基地に入港している間、空母艦載機が使用しています。これらの米軍機は、イラク戦争の航空攻撃作戦でも重要な役割を果たしています。

 現地調査は「ブラウンルート」の折り返し地点といわれる生野ダムから多々良木ダム、さのう高原、轟高原、ハチ高原でおこないました。

「怖い」と悲鳴

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米軍機の“標的”にされた恐怖体験を語る中村覚さん(右端)=兵庫県養父市関宮

 朝来町さのう高原のパラグライダースクールの校長さんは、次のように語ってくれました。

 「プラウラー(電子戦機EA―6B)が、スクールの建物が建っているところよりも下をよく飛びます。ホーネット(戦闘爆撃機F/A18)は、このスクールの上にあるパラグライダー・スタート地点(標高七二〇メートル)のすぐ上空を飛び、向こう側の山に向かうこともあります」

 「昨年十月末、女性のインストラクターが飛んでいるとき、米軍機が横切るように飛んできて、水平距離にしてわずか百メートルにまで接近しました。『怖い!』とすごい悲鳴がトランシーバーからきこえました」

 スクールの隣にある宿泊所「スカイビラさのう」の女性職員も、「九月だったと思うけど、このすぐ上にあるログハウスから見たときは、この下を飛んでいましたよ」といいます。

 この谷あいの一番低いところから宿泊所までの高さが百四十メートル。米軍機はそれ以下を飛んでいるのです。谷あいの下には二十軒の集落があります。日本の航空法は、人の住んでいる地域での三百メートル以下の飛行を禁じています。しかし、米軍は航空法の適用を免れていることをいいことに、無法な低空飛行をくりかえしています。

 「この八月、米軍機が目の前を飛んだときには、シカが林のなかから飛び出てきました。よほど米軍機のごう音が怖かったんですよ」

 こう語るのは、轟高原で農業を営む雲田善三さん。米軍機の飛行の様子について、次のように証言しています。

 「米軍機は西からやってきて東の大屋富士の山あいに飛び去ったり、その逆もあります。二機編隊で飛びますね。ここの谷あいはかなり深いこともあってか、ここの大根畑から下を飛ぶ米軍機を見ることもあるんですよ」と語りました。

観光に影響が

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パラグライダーが飛び立つ山の斜面。米軍機が横切るように低空飛行していきます=兵庫県朝来町さのう高原

 鳥取県との県境にある鉢伏高原やハチ高原でも低空飛行の影響は深刻です。氷ノ山鉢伏観光協会の会長をしている田中昇寿さんは、「米軍機が来ると観光に影響がでる」と心配します。「米軍機は氷ノ山から入ってきて、氷ノ山と鉢伏高原の間をぬうようにして低空で飛び、ここから旋回して戻っていくこともあるし、そのまま飛び去っていくこともあります。まるで踊るようにして飛ぶこともあります」といいます。

 「ハチ高原関宮交流センター」の管理人をしていた中村覚さんは、「十年前のこと」とことわりながら、恐怖の体験談を語ってくれました。「向こうの杉林の上から米軍機が突然、このセンターめがけて飛んできました。もうぶつかると思って、身を伏せました。大きな物体があっという間に通りすぎました。本当に怖かったです」

 現地調査に参加した、広島県の自治体と被害住民・諸団体がつくる「米軍の低空飛行の即時中止を求める県北連絡会」の岡本幸信事務局長は、「ブラウンルートは、他のルートと違って、飛行技術の開発というより、練度維持に力点があるようです」と指摘します。安保破棄兵庫県実行委員会の後藤浩事務局長は、「監視ネットワークを広げ、低空飛行をやめさせるために運動を強化したい」と語っています。


米空軍の低空飛行の定義(〇三年四月ファクトシート) 「地上ミサイルレーダーを破壊し、高度化した地対空ミサイルや対空砲火を避け、敵攻撃機を打ち破るために、百フィート(三十メートル)のような低高度並びに高速で作戦する」


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