2004年11月23日(火)「しんぶん赤旗」
【ベルリン=片岡正明】ドイツのケルンで二十一日、ドイツ国内最大のイスラム教組織、トルコ・イスラム連合(DITIB)が宗教・民族を超え「平和のためテロに反対して手を結ぼう」と呼びかけたデモ・集会がおこなわれ、イスラム教徒だけでなくキリスト教、ユダヤ教の代表者や政治家など幅広い市民二万五千人が参加しました。
隣国オランダでは、イスラム社会で夫が妻を暴力で虐待する映画を制作したテオ・ファン・ゴッホ監督が今月二日に殺害されました。それ以来、イスラム教のモスクやキリスト教会が相次いで放火される事件が続発。右翼とイスラム過激派の対立が社会問題となり、他の欧州連合(EU)諸国にも広がる恐れが出ていました。
欧州連合では人口四億五千五百万人のうちイスラム教徒が千五百万人を占めています。
特にドイツ、フランス、オランダで多く、ドイツでは三百二十万人、人口の4%がイスラム教徒で、うち二百四十万人がトルコ系です。
ケルンのデモは宗教の和解の象徴として、モスクとキリスト教大聖堂の二カ所からデモが出発し、中間点で合流しました。「われわれはすべてのテロに反対する」「テロの責任をイスラムに押しつけるな」「イスラム教は平和の宗教だ」などのプラカードや横断幕を掲げながら行進。トルコ国旗、ドイツ国旗、EU旗がうちふられました。
DITIBのリドバン・チャキル議長は「イスラム教やイスラム教徒をテロの源泉だとする中傷があるが、テロは宗教から起こるのでも民族から起こるのでもない」「殺人にはいかなる宗教的理由もない」と訴え、大きな拍手を浴びました。
ケルンのあるノルトラインウェストファーレン州のベーレン内相(社会民主党)も「(キリスト教徒とイスラム教徒が)ともに進みお互いを理解してこそ、不信や偏見はなくなる」と演説しました。バイエルン州内相のベックシュタイン氏(キリスト教社会同盟)や90年連合・緑の党のロト代表も参加しました。