日本共産党

2004年11月20日(土)「しんぶん赤旗」

福祉と地方 重点に“削れ”

財政審、来年度予算で意見書

定率減税廃止、消費税増税

「避けられない」


 財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は十九日、来年度予算編成の考え方を示す「建議」(意見書)を谷垣禎一財務相に提出しました。「歳出、歳入のいずれか一方で(財政赤字を)埋めることは到底不可能」だとして、定率減税廃止や将来の消費税増税を視野に「歳入・歳出両面から財政構造改革を推進していくことが必要」だとしています。七―九月期の国内総生産(GDP)統計でも日本経済の減速が顕著になるなかでの負担増路線は、暮らしと経済に大打撃を与えます。


表

 本来は歳出のあり方を議論する財政審が、歳入「改革」に言及するのは異例です。定率減税の段階的廃止や消費税の二ケタ税率への引き上げを検討している政府税制調査会の動きと足並みをそろえた格好です。財政審の西室泰三会長代理は同日の記者会見で「(増税は)避けることのできない道筋だ」と述べました。

 歳出「改革」では「聖域なき歳出削減」をうたっていますが、重点は国民生活関連予算の削減です。社会保障では、来年度に制度「改正」される介護保険について、利用者の本人負担を現在の一割から二―三割に引き上げることや、施設入所者の居住費、食費を公的保険の給付対象から除外することを提言。社会保障制度の一体的見直しでは、高齢者に「制度の持続性回復に積極的な貢献を求めていく必要がある」などとし、負担増を検討する考えを示しました。

 地方財政に関しては、地方の歳入不足を国が補てんする交付税の財源保障機能は「地方歳出の肥大化を招く」との理由で将来的廃止を提言。まず、自治体に事業実施の選択余地がある奨励的補助事業をなどを、保障対象外とする方針を示しました。



カット

 財政審 財政制度等審議会が正式名称。財務相の諮問機関で、財政分野では予算編成についての建議(意見書)などを提出しています。会長は貝塚啓明中央大学教授、会長代理は西室泰三東芝会長(日本経団連副会長)。財政制度分科会の会長は西室氏で、同分科会の臨時委員には奥田碩トヨタ自動車会長(日本経団連会長)、北城恪太郎日本IBM会長(経済同友会代表幹事)が名を連ねています。



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