日本共産党

2004年11月16日(火)「しんぶん赤旗」

“住民の中から出てきた”

福島 国見町に共産党員町長

合併情報次つぎ 「民主国見」が話題呼ぶ


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当選から一夜開け、町民と対話する佐藤新町長(左)=15日、福島県国見町

 福島県国見(くにみ)町。のどかな農村地帯が広がるこの町で十四日、元日本共産党町議の佐藤力=つとむ=さん(57)が町長選に当選し、全国で十三人目の日本共産党員首長が誕生。一夜明けた十五日、国見の商店街では店員と買い物客らが新町長誕生に話を弾ませていました。福島県・町田和史記者

 「これまで現職町長を応援していたんだけれど、心のどこかで『このまま合併していいのかな』と思っていた。だから『民主国見』(写真参照、A4判片面)はとても楽しみに読んで、全部とってある。選んでよかったと思えるよう頑張ってもらわないと。期待の大きさが票につながった」とは、ある商店主の声です。

 佐藤さんは党町議を六期二十四年間務め、農協職員としても幅広い住民と接し、信頼を得てきました。この間は特技のパソコンを生かし、「農民のくらしに役立てば」という思いからはじまったソフト製作会社を経営してきました。

 その佐藤さんが立候補を決意した理由は、町長選の最大の争点となった合併問題です。

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合併問題で30号発行した「民主国見」号外

周辺の町も合併協を離脱

 伊達郡では当初、全九町で合併しようという動きがありましたが、川俣町、飯野町が抜け、七町で法定合併協議会をつくったものの、九月には桑折(こおり)町が離脱しました。

 それを受けて佐藤さんは町民らと、「いったん白紙に戻して住民の意見を聞くべきだ」と町と議会に陳情を出し、議会では継続審査となっていました。定数十七の町議会は、日本共産党の浅野富男議員以外は無所属です。

 しかし、町長選告示前日、八日の臨時議会で、残った六町で合併協議会を継続する議案が九対八のきん差で可決。現職町長も六町合併を進めるとしたことから、佐藤さんは日本共産党推薦・無所属で立候補に踏み切りました。

 県町村会長も歴任した「大物」現職を相手に、投票日まで五日間の文字通り短期決戦となりました。合併問題のほかに、町長報酬の三割カット、黒塗り町長車の廃止、公立藤田病院を核とした健康と福祉のまちづくりを訴えました。

 大きな勝因の一つとなったのは、日本共産党国見支部が桑折町の離脱直後から、合併問題の情報を住民に提供してきた「民主国見」号外でした。

 一回に約三千五百部を発行して、一般紙に折り込んで各家庭にまで配布。合併についてほかの情報がきわめて乏しい中で、八月末から三十号発行した号外は話題を呼び、発行には、多くの住民からカンパが寄せられました。

対立陣営弁士「間違いない」

 対立陣営の弁士も「間違ったことは書いていない」という「民主国見」に、現職町長は選挙の論戦で「合併しないと町はやっていけない」と言い訳にまわらざるを得なくなりました。

 選挙翌日の町でも「毎日見ていた。あれが決め手だった」「本当に分かりやすくて良かった。取り上げていた問題を、関係者に聞いたら『まったくその通りだ』って言っていた」という声が町民から寄せられました。佐藤さんも「『民主国見』で合併問題の理解が広がった」といいます。

 佐藤さんと一緒に合併白紙の陳情を提出した、元町教育長の佐藤利雄さん(85)は、「合併は偉い人が勝手に決めて進めてしまったという気持ちが町民の中にあった。それに対し佐藤さんは、合併の情報を発しながら住民の中から出てきた。全町民が一丸となってさわやかに頑張れる町政を期待している」と話しています。

 国見町は、二〇〇二年に日本共産党員の大橋芳啓町長が誕生した霊山(りょうぜん)町と同じ伊達郡に属し、郡内九町のうち四つ目の民主町政となりました。選挙最終日、「住民自治の本旨を守るのが日本共産党員町長」と応援演説した大橋霊山町長も、「住民の痛みの分かる人。住民と手を取り合って町政を進めていくはず。広域行政などでも、一緒に考えていきたい」と期待の声を寄せています。

公約を実現しいい町つくる

 当選証書授与式にのぞんだ佐藤さんは、熱い決意を刻み込むように誓いました。「責任の重さを実感している。合併に不安がある人も、自立への不安がある人も、みんなで一緒に力をあわせ、協力をいただきながら公約を実現し、いい町をつくっていきたい」

 国見町の隣町、梁川町でも合併を争点の一つに、現職の党町議・堀江やすもと候補が二十一日投票の町長選に挑みます。


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福島県国見町

 県の最北端、宮城県と接する阿武隈川流域の伊達郡にある町。一九五四年に発足し、人口一万九百人。基幹産業は農業・畜産業で、米、サクランボ、桃、リンゴ、柿など果樹栽培が盛んです。古墳や、古代の遺跡が多数あり、源頼朝の奥州攻めによる「奥州合戦」の主戦場となった国指定史跡の阿津賀志(あつかし)山防塁があります。



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