日本共産党

2004年11月12日(金)「しんぶん赤旗」

“消費税21%か、歳出33%削減か”

財政審試算は痛み押付けの選択

社会保障関係費は10.7兆円削減


 財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は八日、十年後の国の財政の姿を示した試算を公表しました。これを論議した同日の審議会会合では“二〇一四年度には、消費税率を21%まで引き上げなくてはならない”とした案が示されました。同試算についてみてみます。


グラフ

写真

品定めをする買い物客=東京都内

 試算は、国が現在の財政構造を維持した場合、一般会計歳出総額が二〇一四年度には百十九兆円(〇四年度時点では八十二・一兆円)に達すると想定。一方、歳入は五十六・四兆円と十・九兆円しか伸びないため、財政赤字(公債金収入)は六十二・九兆円(〇四年度時点三十六・六兆円)に膨らむとしています。

 政府は「一〇年にプライマリーバランスの黒字化を目指す」との目標を掲げています。試算は、このプライマリーバランスが一四年度時点では二十七・八兆円の赤字(〇四年度時点十九兆円の赤字)となることを提示。これを黒字化するためには、(1)歳出削減だけならば、歳出を33%削減する必要がある(2)歳入増だけならば、歳入の約五割の増収が求められる―としています。

 歳出削減では「各経費を歳出に占める割合(一四年度時点)で比例的に削減する場合」を例示。社会保障関係費は十・七兆円の削減、公共事業関係費は二・八兆円の削減などとしています。

 歳入増の方法は試算本体では示していませんが、同日の会合では、消費税収だけでまかなうなら「税率は21%は必要」というものでした。

 「財政危機」打開を口実に、すでに社会保障の連続改悪を国民に押し付けている小泉内閣。試算からは、暮らし・福祉のための予算の切り詰めか、消費税増税かの選択を国民に迫りながら、国民への痛み押し付けを「合理化」する政府を後押しする姿が透けて見えます。



カット

 プライマリーバランス(基礎的財政収支) 国の基礎的な財政状態を示す指標の一つ。国債発行などの国の借金を除いた歳入と過去の借金の元利払いを除いた歳出の差を示します。「プライマリーバランスが均衡」すれば、税収などによって、過去の借金の元利払いを除いた歳出をまかなうことができます。「プライマリーバランスが赤字」とは、税収などによって歳出をまかなえず、国の借金残高が雪だるま式に膨らんでいく状態を示します。


赤字原因の根本に目つぶる

消費税なくす会 杵渕智子事務局長

 消費税をなくす全国の会には連日、切実なくらしや営業の実態を訴える声が相次いで寄せられています。小泉内閣による増税と社会保障改悪で、国民の生活や中小業者の経営は深刻です。

 財政赤字の主要な原因は、ムダな公共事業を温存してきた予算の使い道や大企業、高額所得者を優遇してきた減税策にあります。そうしたことに一言も触れず、「財政危機」の打開策として消費税増税、しかも21%まで引き上げるという案を示すということ自体、国民の感情を逆なでするものです。

 財政赤字の原因の根本に目をつぶり、国民につけ回しする打開策を議論することは間違っています。

 くらし・福祉を切り捨てる歳出「削減」にしろ、消費税増税にしろ、これらがどれだけの痛みを国民に押し付けるか、推し量ることもできない財政審に怒りを感じます。

 消費税増税は許せません。消費税をなくす全国の会は「増税法案を作らせない、出させない」をスローガンに、増税阻止にむけて力を尽くします。



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