2004年10月31日(日)「しんぶん赤旗」
突然おそいかかる地震や台風などの自然災害。被災者の当面の生活や営業、生活再建に利用できる制度にはどのようなものがあるか。おもなものを紹介します。なお、災害救助法による支援については、一応の所得制限や期限などの基準が定められていますが、基本的に「援助を必要とする人を支援する」という法の趣旨を徹底させるようにすることが大切です。
当面の生活支援 |
被災者生活再建支援法にもとづき最高三百万円まで支給する制度です。
支援対象は、住宅が全壊した世帯、半壊して倒壊防止などのやむを得ない理由で解体した世帯、災害が継続して長期にわたり居住が不可能な状態が続くと見込まれる世帯(三宅島噴火災害など)、半壊して大規模な補修を行わなければ居住が困難な世帯(大規模半壊世帯)です。台風や豪雨による床上浸水で被害を受けた住宅も対象とする通達(二十八日付)がでています。世帯の収入、構成によって支給対象が限られています(表)。
被災者生活再建支援金 (単位:万円) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(注)「住宅が半壊し、倒壊防止等のやむを得ない理由で住宅を解体した世帯」「災害が継続し、長期にわたり居住不可能な状態が継続することが見込まれる世帯」も適用 |
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全壊の場合、生活必需品や医療費などの生活関係経費として百万円、住宅の解体・撤去・整地費など居住関係経費として二百万円まで支給されます。大規模半壊世帯には生活関係経費は支給されません。
市町村の窓口に申請します(図)。
災害で亡くなったり、重度の障害にあった人にたいし、「災害弔慰金の支給等に関する法律」にもとづき、災害弔慰金、災害障害見舞金が支給されます。申請は、市町村の窓口へ。
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【災害弔慰金】
配偶者、子、父母、孫、祖父母が亡くなった場合、最高で五百万円が支給されます。
【災害障害見舞金】
災害により重度の障害を受けた人にたいして、最高で二百五十万円の見舞金が支給されます。
通常は低所得世帯を対象とした制度で、災害を受けたことによる困難から当面の生活維持に必要な経費として、百五十万円を限度に貸し付けが受けられます。利率は年3%(県独自に利子補給を行っている場合もあります)。
据え置き期間一年、償還期間七年以内。申込受付窓口は、民生委員を通じて市町村の社会福祉協議会。
生活が困難な場合、生業を営むのに必要な経費として、二百八十万円を限度に貸し付けを受けられます。利率、据え置き期間、償還期間、窓口は災害援護資金と同じ。
住宅の建て替え、補修など |
災害救助法にもとづき、住宅に被害を受け、みずからの資力で応急処理をすることができない場合、居室、炊事場、トイレなど日常生活に最小限度必要な部分について、一世帯あたり五十一万九千円以内で地方自治体が応急修理をします。期間は一カ月以内(実情により延長等が可能)で、申し込みは市町村の窓口。
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住宅金融公庫が融資対象地域に指定した地域で、建設・新築・中古購入の場合は住宅に五割以上の被害を受けた人、補修の場合は住宅に十万円以上の被害を受けた人は、融資を受けることができます。
限度額は建設の場合、木造で千百万円、補修の場合、木造で五百九十万円、新たに宅地を取得する場合、建設資金の融資を合わせて七百七十万円。整地のための三百八十万円を限度とする融資もあります。利率年1・9%、償還期間は最長で三十五年。申し込みは、住宅金融公庫か公庫委託の金融機関。
対象は、災害で負傷したり、住居、家財に被害を受けた人で、前年の所得が市町村民税の課税標準で七百三十万円(四人世帯)未満、住居が滅失した場合は千二百七十万円未満の世帯。
貸付限度額は三百五十万円。利率年3%、据え置き期間三年、償還期間十年(据え置き期間含む)。申し込みは市町村の窓口。
災害防止のための改善勧告を受けている場合、危険個所の修復のために住宅金融公庫の宅地防災資金を借りることができます。
限度額は、工事に必要な費用の九割もしくは千三十万円のいずれか低い方の金額。利率年2・7%、償還期間十五年以内。
教育への援助 |
【授業料減免・補助】
被災世帯の高校生の授業料免除については、公立は各自治体で定めていますので、学校を通じて教育委員会に相談します。私立の場合は直接学校と相談します。
【修学費、就学支度金の貸付】
生活福祉資金の貸付制度のひとつ(無利子)。高校、高専、短大、大学生が対象。入学の際、または月々貸し付けられます。
【日本学生支援機構の災害採用】
通常の採用時以外でも、災害など緊急の場合には適時採用を行います。その際、学力基準、家計基準などは通常より緩和されます。申し込みは、大学の学生課などを通じて機構に。
税の減免、納税猶予 |
災害によって住宅や家財に被害を受けたとき、損害額の程度によって、所得税や地方税の減免を受けることができます。
【所得税の減免】
二つの方法がありますので、専門家などとも相談し、有利な方を選びます。
(1)災害減免法
住宅や家財の二分の一以上の損害を受け、かつ、その年の所得金額が一千万円以下の人が対象です。その年の所得が五百万円以下の場合は所得税全額が免除となります。その他、所得によって四分の一まで軽減されます。被災した年のみの制度です。
(2)雑損控除
生活に通常必要な資産で災害などで損失した場合、定められた計算方法で所得額から控除され所得税の計算がされます。この制度を受けるためには、災害に関連したやむを得ない支出金額について、領収書や明細書などが必要です。
損失額が大きくて、その年の所得金額から控除しきれない場合は、翌年以後三年間に繰り越して各年の所得金額から控除できます。
【地方税の減免】
住民税、固定資産税、事業税、自動車税などの地方税の減免制度は、それぞれの自治体の条例によります。各都道府県、市町村の担当窓口に相談してください。
【納税の猶予】
災害などにより相当の損失を受けた場合、所得税の場合は税務署長に申請することによって、納税期限から一年以内で納税の猶予が受けることができます。
地方税の場合は、それぞれの自治体に相談してください。
【国保税の減免】
医療費の支払いに困ったときの制度としては、国民健康保険法による保険料の減免制度があります。市町村に相談してください。
中小企業への融資制度 |
中小企業にたいする融資については、政府系金融機関が災害復旧貸付制度を設けています。
【中小企業金融公庫】
他の貸し付けとは別枠で、直接貸し付けが一億五千万円まで。利率年1・7%、据え置き期間二年、償還期間十年(据え置き期間を含む)。
【国民生活金融公庫】
他の貸し付けとは別枠で、直接貸し付けが三千万円まで。利率などは中小企業金融公庫と同じ。
【商工組合中央金庫】
他の貸し付けとは別枠で、直接貸し付けが組合に二百億円まで、組合員に二十億円まで。利率年1・7%、据え置き期間三年、償還期間十年(据え置き期間を含む)。
被災農家への融資制度 |
肥料や種もみを買うなどの経営資金や生活資金のための国の融資制度としては、「天災融資法」にもとづく制度があります。
【天災資金】
「天災融資法」が発動され、減収量が三割以上で、かつ、損失額が一割以上の農家が対象で、限度額は二百万円。認定は市町村がおこない、被害程度などに応じて、6・5%、5・5%、3%(いずれも以内)と年利率が決められています。償還期間は三年から六年。
【農業経営維持安定資金・林業経営安定資金】
災害にともなって資金を必要とする農業者、林業者等への貸付制度。限度額は二百万円、利率年0・8%から1・8%(償還期間に応じて)、所得制限などはありません。申し込みは市町村の担当窓口。
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このほかに都道府県で独自の支援策を講じています。確認のうえ活用してください。