2004年10月28日(木)「しんぶん赤旗」
台風23号は、兵庫県や京都府の日本海側を中心に、がけ崩れや床上浸水など大きなつめあとを残しました。ことし五月、日本共産党員の奥村忠俊町長が誕生した兵庫県出石町も深刻な被害を受けました。
![]() 鳥居地区の復旧支援に集まったボランティアの人たち =27日、兵庫・出石町 |
出石川の堤防決壊で地盤が流出し、多くの家屋が流されたり大きく傾くなど、町内で最大の被害が出た鳥居地区では二十七日、県下各地から駆けつけたボランティアが住民とともに、家具の運び出しや流木の回収に汗を流していました。
同町総務課によると、この日同町に集まったボランティアは全体で四百九人。二十二日にボランティア募集を始め、翌二十三日には六十六人、二十四日は百七十六人、二十六日は二百五十七人と増えつづけています。
町総務課の井上隆俊係長は「被災者の疲労はピークに達し、作業に影響が出ています。ボランティアのみなさんの力をお借りして、何とか月末までに復旧作業にメドをつけたい」といいます。
市役所や警察など中心部が浸水して救援作業の開始が遅れた豊岡市と比べて、出石町は町役場や商店街などが被災後も健在でした。奥村町長を先頭に、町は総動員態勢で救援活動にあたりました。地域の実情に通じた区長から寄せられる情報をもとにすばやく避難情報を出し、孤立した集落の状態をつかみました。その結果、避難所だけでなく、町内全域に食料を行き渡らせることができました。
日本共産党の武田厚志町議は「町内四つの婦人団体が、いち早く炊き出しの態勢を確立し、給食・弁当会社は一日千食の弁当を二日間提供してくれました」と振り返ります。
奥村町長は「ライフラインの復旧をはじめ、水害でショックを受けた児童・生徒の心のケアなど、課題はたくさんあります。保水力が衰えた森林のことや、川の改修方法の見直しなど、国・県と協力して考える必要があります。個々の被災者には行政としてできるだけのことをしたい。防災を基本に安心できるまちづくりを進めていきたい」と決意を語ります。
兵庫県の日本共産党は、ボランティアの募集・派遣をはじめ、豊岡市や出石町など被災自治体の復旧に全力で取り組んでいます。県党後援会は、かねて予定していた出石町への交流ツアーを二十四日におこない、ライトバン四台分のタオルや軍手、見舞募金約二十万円を届け、喜ばれました。
二十七日、県議会の視察チームの一員として出石町に入った宮田静則党県議は、鳥居地区の被害の実情を見て「震災の経験を生かして全力で支援したい。県として対策をとるよう議会で提案したい」と語りました。
関西総局・平岡賢記者