日本共産党

2004年10月27日(水)「しんぶん赤旗」

弁護士費用の敗訴者負担のねらいは?


 〈問い〉 弁護士費用の敗訴者負担のための法案成立を、政府があくまではかろうとするねらいは何でしょう?(愛知・一読者)

 〈答え〉 民事裁判で両当事者に弁護士がつき、弁護士費用を敗訴者負担にするとの合意があったときに、敗訴者に相手側の弁護士費用も負担させる法案が国会に出されています。政府は、国民各層の反対運動が発展してきたため、「両当事者の合意の場合に限る」という条件を新たに持ち出し、この制度をあくまでも導入しようとしています。

 いまでさえ、国民は裁判をしたくても弁護士費用を心配してためらいがちです。まして、敗訴者に相手の弁護士費用まで負担させることになれば、敗訴をおそれて裁判をためらい、憲法の保障する国民の裁判を受ける権利(第32条)がおかされることは何ら変わりありません。

 これまで、公害問題、消費者問題、医療過誤問題など、はじめは敗訴が続いても、憲法を生かした法理論の発展や世論の高まりなどでやがて勝訴し、国民の権利を実現してきました。この制度の導入で、国民の裁判を利用する機会が大幅に奪われてしまいます。

 当事者双方が合意した場合に限るのだから、合意しなければいいではないかと思うかもしれませんが、落とし穴があります。

 この制度は、消費者契約や労働契約に、商品や労働条件などでの紛争で裁判になったとき、弁護士費用は敗訴者が負担するという項目が入っている場合も支払わなければならないというのですから、敗訴者に相手側の弁護士費用を負担させる契約が広がっていくことは防げません。

 反対運動が広がっているのに、目先をかえて何としてもこの制度を導入しようとしているのは、財界・大企業やその意をうけた政府が、国民に裁判で権利の実現を訴えることをちゅうちょさせ、大企業の横暴や悪政をほしいままにすすめようとするものにほかなりません。(明)

 〔2004・10・27(水)〕



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