日本共産党

2004年10月25日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

乳幼児医療費無料化

中学まで続々拡大

住民と党 否決されても粘り強く


 義務教育終了までの乳幼児医療費助成n(無料化)をする市区町村が年々増加しています。中学卒業までが82、小学卒業までは28自治体(通院、入院のいずれか1つも含む)=全国保険医団体連合会など調べ、4月1日現在=に広がっています。高校卒業までは3町で実施。中学まで実施(計画)している石川県と東京都の現状を紹介します。


8町で実現 石川

写真

石川県に乳幼児医療費助成制度の拡充を申し入れる新日本婦人の会会員=6月、金沢市

 石川県で中学校卒業まで医療費無料は根上、寺井、辰口、川北、志賀、鳥屋、鹿島、鹿西の八つの町(全自治体の20・5%)。石川県が入院は就学前まで、通院は三歳までとしている制度に独自に上乗せして実施しているものです。志賀町(五百円)を除く七町は県が月額千円としている自己負担もなくしました。ただし、いずれも県の制度である償還払い、所得制限があります。

寺井町

1歳ずつ対象引上げ“魅力的”と転入

 小松市に隣接する寺井町は人口一万四千四百五十一人(一日現在)。いまから三十一年前の一九七三年七月、入・通院ともゼロ歳児の乳幼児医療費助成制度がスタートしました。九三、九四年度に一歳ずつ引き上げて以降、九七年度から毎年のように拡充をはかり、二〇〇一年度、入・通院とも中学校卒業までの助成制度になりました。

 同町には一九五一年四月開設の民医連寺井病院があり、同病院友の会や日本共産党などが医療・福祉の充実のために先進的な役割を果たしてきました。六九年、老人医療費無料制度が創設され、七一年には「国民健康保険の受診率日本一」になったことも。

 乳幼児医療費無料制度については、署名運動を展開し、七二年六月議会に「子どもの医療費を無料に」と議会請願を提出。「子どもの医者代ぐらい親がみて当然」という風潮のなかで、議会内外でねばりづよく運動しました。

 同町の日本共産党組織は七三年の町議選で、老人や乳幼児医療費無料化をはじめとする「五つの医療費無料化」の実績を訴えて初の複数議席を実現しました。

 東京・品川区から寺井町の隣の根上町に引っ越してきた大川希久子さん(32)は小学三年生と三歳の子をもつ母親。「中学校卒業まで医療費無料ということはすごく助かります」と語り、品川区で実施しているような窓口負担なしの現物給付に改善することを望んでいます。

 小松市に職場が決まり、住所を寺井町に決めたある男性(36)は、「子どもの医療費が中学校卒業まで無料ということが非常に魅力だった」と転居理由を語っています。

 石川県では新日本婦人の会、社会保障推進協議会、保険医協会、日本共産党などが、(1)県の制度を就学前まで拡充(2)自己負担千円の廃止(3)償還払いから現物給付への切り替え(4)国の制度創設―を求めて運動をすすめています。石川県・森明雄記者


来年度に2区 東京

 東京では、住民運動と結んだ日本共産党の粘り強い頑張りで、子どもの医療費無料化の対象を拡大する自治体が広がっています。

 台東、港両区は、来年四月から通・入院医療費の無料化の対象を小学校入学前から中学生までに拡大することを、先月末から今月にかけて相次いで発表しました。品川区では来年一月から小学生までに拡大する方針で、北区は今年四月から入院費に限り中学生まで無料化を拡大しました。

 港区で小学校二年生の子どもを育てる井上幸路さん(40)は、「医療費は高くなる一方なので、小学校入学後も医療費が無料であればいいなと思っていました。子どもをめぐるいやな事件が多く、住みにくくなるばかりです。このニュースに希望がわいてきます」と喜びを語ります。

 都は、二〇〇一年から乳幼児医療費助成の対象を小学校入学前までに拡大(所得制限あり)し、これを土台に、各区市町村独自の拡充が進んでいます。二十三区では、ほとんどの区が所得制限を撤廃、所得制限の年齢を緩和する市 も広がっています。

台東

子育て要望のトップ

無所属区議「井戸掘った共産党」

 台東区は、来年四月から所得制限なしで中学生までの通・入院医療費を無料化する方針です。対象人数は、今年度の約六千三百人から約一万五千七百人に拡大。区の助成額は二億五千八百万円から約五億円になる見込みです。

 同区が実施した子育て支援にかんするアンケート(小学校児童までの保護者を対象)で、六割以上が「小学生の医療費無料化」を要望し、トップでした。区の担当者は「区内の高齢化も進んでいるが、十四歳以下の人口も増えている。医療費助成の拡充で、若い世代がいっそう区内に定着することを期待している」と話しています。

 日本共産党区議団は、昨年六月議会に小学一年生までの医療費無料化条例を提案。自民、公明、民主などが反対し否決しました。しかし、その後も医療費無料化の拡大を求める陳情署名が寄せられるなど住民の強い要望があり、党区議団も拡充を求めていました。

 同区の無所属区議は自らのホームページで、自民区議が医療費無料化の拡大を成果として誇っていることに対し、道を開いたのは日本共産党だとし、「井戸を掘った共産党に敬意を表したい」とのべています。

 あきま洋都議候補(台東区)は、「子どもの医療費助成は、都民と日本共産党が力を合わせた粘り強い運動で着実に拡充してきました。しかし、所得制限が残る市町村と二十三区との格差も大きい。中学生までのすべての子どもたちが等しく医療費助成が受けられるように頑張りたい」と話しています。東京都・長沢宏幸記者



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