2004年10月20日(水)「しんぶん赤旗」
所報のように新潟市の官製談合で検察当局が、公正取引委員会による刑事告発を経ずに発注官庁側の逮捕に踏み切ったのは、「官製談合」摘発の新たな手法です。公共工事における入札談合は、入札参加業者の“話し合い”だけでは成立しません。発注官庁側の関与は、建設業界では「常識」です。
入札では、上限価格となる予定価格が設定されています。受注業者はそのぎりぎりのところで落札することで、最大利益を得ることができます。このため入札談合ではほぼ100%、入札前に予定価格が業者側に漏れているといいます。
予定価格をはじめ業者の殺生権を持つ発注官庁は、実際の入札では強い力を持ち、場合によっては受注予定業者まで決めるケースまであります。このような官製談合が「実際には少なくない」(大手ゼネコン幹部)のが現状。この官製談合は、業者が発注官庁OBを受け入れるなど公共工事をめぐる癒着の温床にもなっています。
官製談合にメスを入れることは、今回の手法に限らず、独占禁止法にもとづき公取委が刑事告発をして、検察がそれを受ける形でも可能です。
一九九五年に公取委が独禁法違反で刑事告発した日本下水道事業団の入札談合事件では、大手電機メーカーの担当者のほか、受注予定業者に予定価格を提示した疑いで同事業団の担当者も幇助(ほうじょ)罪で告発されました。
公取委にしろ検察にしろあらゆる手法を駆使して官製談合にメスを入れるとともに、その温床となっている発注官庁からゼネコンなどへの天下りなどの癒着構造をなくしていくことが求められます。山本豊彦記者