2004年10月18日(月)「しんぶん赤旗」
ダイエットができる、できないは、自分の存在をはかる大きなモノサシになっている――。ダイエット・ブームのなかで、こんな考え方が若い女性の間で広がっているといいます。拒食や過食に悩む学生を通して、再びダイエットを考えてみました。矢野昌弘記者
身長一六〇センチ、体重五四キロ。二十歳前後の女性の平均的な身長と標準的な体重です。ところが、ダイエット関連のホームページには、「美的」なる新基準が躍ります。美的BMI(体格指数)から見た理想的な体重は、なんと四二キロ。人によっては骨が浮き出るようなやせ方です。それがホームページでは「非常にスリムでモデルのような体形」となるのです。
標準からかけ離れたこんな過剰なダイエットに挑戦して、心身のバランスを崩す学生も少なくありません。立教大学学生相談所の山中淑江さんのもとには、毎年十五件ほど摂食障害のトラブルを抱えた学生が訪れます。
立教大学の学生数は一万五千人。割合としては千分の一ですが、症状を抱える学生の実数はもっと多いと山中さんはみています。どんなタイプが多いのでしょうか。
「課題を達成することで存在する意味を感じる。または、人に認められることを動機づけにしてがんばることができる学生。いわゆる“いい子”と呼ばれるタイプの人です」と山中さん。
そんな学生たちがダイエットに結びついていくのは、「やせることはまわりから見て達成がわかり、評価しやすいから」といいます。
摂食障害の学生に限らず、「○○さんのように足が細くなりたい」などと、常に「いまの体形ではだめ」という思いにかられている学生が多いといいます。
女性下着メーカーがおこなった世界十二カ国の女性対象の意識調査で、日本の女性は自分の体形への満足度がもっとも低いという結果がでています。
「男性の目より女性の目を意識」「体はスリムで、心はいつも前向きでなければならない」。そんなふうに自分を無理強いする状況を、山中さんは「コントロール強迫社会」と表現します。
とくに、「アメリカ社会での成功者は肥満してない」という話が、ここ十年“常識”として日本で浸透。「やせていることが成功へのステップ」と考える学生は少なくないといいます。あたかも「やせたら勝ち組」「太ったら負け組」といった考えが学生の中に広がっているともいいます。
やせることができず、つい食べてしまう――。そんな自分への失望感に打ちのめされてしまった過食症の学生に、山中さんたちは「あなたが存在していること自体かけがえのないこと」というメッセージを時間をかけて送り続け、傷ついた自尊心の回復を支えます。
こうして、自己肯定感を回復しながら学生は「これまで遠慮して言えなかったことを友達にいったらわかってくれた」と居場所を確保し、食べること、やせることへの強迫観念が薄らいでいくといいます。
山中さんは指摘します。
「『コントロール強迫社会』の背景に、日本の若い人たちが『自分はOK』といった自己意識を持てないことがあるのではないでしょうか。“人の目に自分がどう映っているか”でしか自分を見いだすことができず、『自分はかけがえのない存在』だと実感できる場も少ないと思います」
160センチの身長に体重は40キロを下回り、見た目にもやせがひどく、生理も止まっています。もともと食べることに関心が薄く、やせすぎという意識はありません。「講義は全部出席しなければ」と、完ぺき主義。活動的な性格で、サークルやゼミで積極的な役割を果たしています。
断ることができない性格でやりきれなくなり、抱え込みすぎて相談所を訪れます。拒食から一転して過食になり、買い物カゴ二つ分にもなる食べ物を、食べては吐き、吐いては食べることを繰り返すこともあります。要因は、幼児期からの家族関係や性格などがからみ複雑で、改善には時間がかかります。
標準体重よりやや体重が多い。もっと減量しなければと、いつも思いながら、友人関係や生活のことでストレスがたまると、つい夜中に買い物カゴ一つ分にもなる食べ物を食べてしまいます。
太ってしまう恐怖から食べたものを嘔吐(おうと)します。そのため、挫折感や後悔の念、みじめさなどを抱えています。講義にはまじめに出席していますが、「人の目が気になる」「自分の居場所がない」などの思いから精神的に苦しい状態で学生生活を送っています。
Q フリーターを卒業して、ようやく正社員(サービス業)になりました。しかし、労働時間が十時間から十四時間にもなり、あまりにも過酷です。土曜、日曜は休みになっているのですが、よびだされることもしばしば。ダウンしてしまいそうです。会社にきついといえばやめさせられるかもしれません。会社をやめるか、人間をやめるしかないかな? と思ったりもします。(25歳、男性。埼玉県)
A 実は、おれも毎日朝八時半くらいから夜は九時すぎまで、遅いときには午前零時を超えるまで東奔西走しています。また、休日も全国で講演を行うなどこの一年、ほとんど休みもありませんでした。それでも、なんとか心も体も壊さずに過ごしてこられたのは、おれが従事しているのは「ビジネス」ではなく「教育」という営みであるからです。
金銭的な報酬以上に、生徒たちの成長というとてつもない「報酬」が得られるからです。もっとも、それを手にするのは、言葉で言うほど簡単なことではないですが…。
その意味では、会社の利益のためだけに身を粉にして働いていると思われるあなたが、精神的にも肉体的にも追いつめられてしまうのは当然のことだと思います。でも、人間をやめるなんて悲しいことを言わないでください。あなたがあってこその仕事です。
確かに、この世の中には簡単な仕事などないでしょう。この新聞を作っている方たちだって、徹夜をしたり取材で全国を飛び回ったりしていることでしょう。だからこそ、どうせするのなら、使命を持って自分のすべてをかけることができる仕事を見つけてほしいと願います。その場所は、きっとあなたの力を必要としているから。
ヤンキー先生 義家弘介さん 明治学院大学法学部卒。99年から母校北星学園余市高校教諭。テレビドラマになった「ヤンキー母校に帰る」の原作者。 |
| わかものCom |
正社員になって初めて責任ある仕事をまかされ、ドキドキでした。それは、来年採用の内定者と会社の役員との懇談会の進行係です。原稿を作り、上司の人にも見てもらい、当日は本当に緊張しました。なんとかやり終えてぐったり。上司にも「よかったじゃないか」とほめられ、ほっとしました。やっぱり、社会人はきびしいですね。
うまくやれてよかったね。ほめられたなんてすごいじゃないですか。(ひろし)
パ・リーグのプレーオフはおもしろかったですね。こんなにおもしろいパ・リーグの試合をみたのは、初めてといってもいいんじゃないかな。来年もプレーオフをやって、パ・リーグをもりあげてほしい。そのためにも、六球団は絶対死守だね。
みんな、そう思っていると思うよ。「ストライキ」の成功が生かされるといいね。(ひろし)