日本共産党

2004年10月16日(土)「しんぶん赤旗」

原油高騰 地域経済に打撃

景気ウオッチャー調査

「価格転嫁できない」

販売先から値下げ要求も


グラフ

 内閣府が発表した家計動向や企業動向、雇用などを敏感に観察できる業種から選定(二千五十人)した景気ウオッチャーへの調査結果(九月)の詳報をみると、原油高騰などが地方経済に与える深刻な影響が現れています。

 多いのは上昇したコスト(経費)を価格に転嫁できないという声です。

写真
セルフサービスのガソリンスタンドでもレギュラーガソリン1リットルが116円にも=9月30日、東京都板橋区

 「原油価格の高騰は生産コストの増加となり、商品価格への転嫁ができない状況、限界点に達している」(北海道)、「原材料の仕入れ先からは値上げ要請がある一方で、販売先からは価格転嫁どころか値下げ要請が続いている」(東海)、「トラックの運賃は値上げがなかなか認められない」(近畿)など、苦境が伝わってきます。

 大企業が優越的地位を利用し、取引先や下請け中小企業にコスト転嫁しているといわれるだけに、その一端をのぞかせているといえます。

 景気の先行き判断もマイナスです。

 「十月からの厚生年金の負担増や灯油の価格上昇などがあり、悪くなる」(東北)、「ガソリン価格の上昇に加え、十月から年金保険料が増額されるため、全般的に消費を抑える傾向が強くなる」(北陸)と、原油だけでなく小泉内閣の国民負担増政策を悪化要因と指摘する声も出ています。

9月景気ウオッチャー調査から
<北海道>
○ 原油価格の高騰は生産コストの増加となり、関連企業とも商品価格への転嫁ができない状況にあり、限界点に達している。(食料品製造業)
○ 燃料価格など原材料価格の上昇を価格転嫁できない企業が多い。特に運輸業、食料品製造業で価格転嫁が遅れている。(金融業)
<東北>
○ 10月からの厚生年金の負担増や灯油の価格上昇等があり、悪くなる。(スーパー)
○ 航空会社の燃料の値上げが続き、運賃の値上げが大きな影響を与えそうである。(運送業)
<北関東>
○ 最近の原油高で仕切り単価が非常に上昇しているが、思うように販売価格への転嫁はできないので、影響を受けている。(ガソリンスタンド)
○ 鉄鋼材料の値上げ、原油価格の高騰等で仕入れ価格が上昇し続けている。値上げを売り先に転嫁できる状況ではないので、収益はいっそう悪化傾向にある。(金物店)
<南関東>
○ 金属や石油製品等の原材料の値段は上昇しており、製造原価が上昇し始めている。原料の値上げ圧力は社内努力だけでは吸収できず、粗利益に影響を与えている。(電気機械器具製造業)
○ ここにきてガソリンが急激に値上がりしており、それに伴って消費者の生活防衛的な意識が強まっている。(スーパー)
<東海>
○ 原材料の仕入れ先からは値上げ要請がある一方で、販売先からは価格転嫁どころか値下げ要請が続いている。(金属製品製造業)
○ 原油価格の高騰の影響で灯油の価格が値上がりすると、他の生活必需品の消費も抑制される。(スーパー)
<北陸>
○ ガソリンの値上げに続き、冬場に消費される灯油も値上げが予想され、そのしわ寄せが食品や衣料にくる。(スーパー)
○ ガソリン価格の上昇に加え、10月から年金保険料が増額されるため、全般的に消費を抑える傾向が強くなる。(コンビニ)

<近畿>
○ 燃料等の度重なる値上げで利益が圧迫されている中で、航空貨物の運賃や海上コンテナ船の運賃は値上がりしているが、陸上輸送のトラックの運賃は値上げがなかなか認められない。(輸送業)
○ 染色などの工程で、原油価格高騰によるコストアップが提示されているが、製品価格への転嫁は全く望めないことから、先行きの見通しは厳しい。(繊維工業)
<中国>
○ 燃料関係の顧客は、ガソリン店の閉鎖などで大変とか、景気のいい話が最近聞こえてこない。(タクシー運転手)
○ 物流費・原燃料費等の高騰により利益が上がりにくい状況である。(化学工業)
<四国>
○ 原材料の値上げにより製品価格の修正を行っているため、様子見による買い控えが出ている。(化学工業)
○ 原油高による原材料コストの上昇が経営を大きく圧迫している。特に樹脂関係、プラスチック製品、家電製品の価格転嫁ができない状況が続くと、景気は悪くなっていく。(電気機械器具製造業)
<九州>
○ 原油価格高騰によるガソリンや石油製品の値上げが、消費マインド(意識)を冷え込ませている。食品スーパーでは、売れ行き以外にもトレーやラップ、レジ袋等の値上げもさらに上積みされるため、利益が圧迫される。(スーパー)
○ 原油価格と材料費の高騰で、以前のように安いものを提供できない。買い控えが起こり、景気が低迷している。(住宅販売会社)
<沖縄>
○ 金利の上昇機運や資材価格の高騰で一部住宅価格の上昇もあり、慎重になっている。(住宅販売会社)
○ 本県では車への依存度が高いことから、ガソリン代がここ2、3カ月で10ポイント程度上昇していることがマイナス要因となるのではないかと懸念される。(コンビニ)


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