日本共産党

2004年10月15日(金)「しんぶん赤旗」

焦点■臨時国会

どうする「政治とカネ」

自民 “抜け道”づくり 民主 企業献金に触れず

共産党 癒着根絶へ企業・団体献金禁止を主張


 臨時国会の大きな焦点の一つは、十三、十四両日におこなわれた代表質問で各党がとりあげた「政治とカネ」の問題です。日歯連(日本歯科医師連盟)から自民党旧橋本派への一億円ヤミ献金事件の真相解明とあわせて、特定の政治家にヤミでカネを回す迂回(うかい)献金を根絶するにはどうすればいいのか――。 古荘智子記者


迂回献金の問題点どこに 

図

 別図にあるように、いまの政治資金規正法では、企業・団体(労組や業界団体など)献金は政治家個人の資金管理団体に対しては禁止され、政党や政治資金団体向けは資本金などの規模に応じて献金上限が最高一億円に決められています。一方、業界の政治団体は上限規制もありません。

 日歯連のケースで政治問題化しているのはどういうものか。日本歯科医師会が献金でなんの制約も受けない日歯連という政治団体をつくって、自民党に年間五億円もの献金をおこない、しかもその大半があらかじめ受け取り手の政治家を指定した迂回献金だった疑いです。

 献金の制約を受ける業界団体が別に政治団体をつくって、上限規制などをまぬがれている構図です。業界の政治団体の献金は、日歯連マネーが診療報酬で有利になるように政界工作として使われた疑いがあるように、カネの力で政治をゆがめようとする点で、企業・団体献金と変わりありません。

 政治家指定の迂回献金は、事実上、禁止したはずの政治家個人への企業・団体献金であり、脱法行為です。カネを通じた政治家と業界との癒着関係を隠す点では、いっそう悪質です。迂回献金が受け取り手を指定するという“ヤミの世界”でおこなれている以上、この流れを根本的に止めるには、企業・団体、業界の政治団体からの献金を、政治家個人だけでなく政党、政治資金団体向けも含め全面禁止する以外にありません。

表

企業献金禁止が前提だった

 そもそも企業献金禁止は、金権腐敗政治の根絶、政治と業界の癒着を断つうえで、政治改革の前提でした。首相の諮問機関である選挙制度審議会も禁止をくりかえし答申してきました。(別項参照)

 一九九三年に「政治改革」が叫ばれたときには、当時の細川護煕首相は「政治腐敗事件が起きるたびに問題となる企業・団体献金については、腐敗の恐れのない中立的な公費による助成を導入することなどにより廃止の方向に踏み切ることといたします」(九三年八月二十三日の所信表明演説)と、廃止を表明したものです。

 見かえりを求める企業・団体献金がそもそもわいろ性を帯びているからにほかなりません。

 準大手ゼネコン・熊谷組の献金をめぐる福井地裁判決でも企業・団体献金の集中が「政界と産業界との不正常な癒着を招く温床ともなりかねない」と警告しました。

 「企業にとって、政治献金は汚職と背任のはざまを綱渡りするようなもの。もうけに結びつけば贈賄、役に立たないと分かっていて出せば背任になる」(諸井虔・秩父セメント会長、「朝日」一九九〇年一月二十二日付)と財界人自身が語る通りです。

形を変えて残る癒着構造 

 細川内閣で「企業・団体献金を廃止する」といって始まった政治資金規制も、政党、政治資金団体向けの献金は温存され、政治家個人向けの禁止は、実際には法施行五年後(二〇〇〇年)に先送りされました。政党に対する企業・団体献金の「見直し」規定は自民党などによってほごにされ、業界などの政治団体が行う献金も手つかずのまま今日にいたっています。政治家が支部長をつとめる政党支部も企業・団体献金を受け取る受け皿となっています。

 日本共産党は当時から、政治家個人向けを禁止しても政党への企業献金を温存すれば、それが抜け道になることを指摘、抜け穴を残さずに大本を断つ全面禁止を主張してきました。

 いま問題になっている迂回献金は、まさに政党、政治資金団体への献金のルートを抜け道として利用したものです。抜け穴を残せば、政治家個人への企業団体献金の脱法行為は形を変えて繰り返され、政治家と業界の癒着は根絶されない―企業・団体献金の扱いをめぐるこの間の経過は、このことを示しています。

各党の対応は

 各党はどう対応しようとしているのか。

 自民、公明与党で検討されているのは、現行ではなんの制限もない業界政治団体から派閥や政治家後援会のような政治団体への献金額に上限を設ける「規制」です。公明党の太田昭宏幹事長代行は十四日の代表質問で「政党および政治資金団体以外の政治団体間の寄付について…量的制限を設けること」と主張しました。

 しかし政治団体間の献金を制限しても、後援会をいくつもつくるなど政治団体の数を増やせば増額も可能です。なにより、迂回献金で問題になっている政党、政治資金団体への献金に指一本触れないのでは、肝心の迂回を止めることになりません。

 小泉首相は政治資金規正法の改正の検討を自民党に指示しただけで、いわば“丸投げ”。日本共産党の志位和夫委員長への答弁では、政治団体間の献金の量的規制にすら否定的な姿勢を見せました。

 民主党は代表質問で迂回献金の禁止を主張しました。大本の企業・団体献金については言及しませんでした。



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