日本共産党

2004年10月9日(土)「しんぶん赤旗」

UFJ銀本部を捜索

元副頭取宅なども一斉に

検査妨害は組織的


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集まった報道陣の前を足早に過ぎるUFJ銀行関係者ら=8日午前、東京都千代田区の同行東京本部

 UFJ銀行(沖原隆宗頭取)が融資関係資料を隠ぺい、改ざんして金融庁の検査を妨害した事件で、東京地検特捜部は八日、組織的不正の疑いが強まったとして、銀行法違反(検査忌避)容疑で、同行東京本部(千代田区)などを一斉に家宅捜索、強制捜査に乗り出しました。

 捜索を受けたのは同本部のほか、岡崎和美元副頭取や早川潜元常務執行役員、稲葉誠之元執行役員審査第五部部長の自宅など。

 特捜部は押収した資料を分析し、金融庁が告発した元役員らを事情聴取し、上層部の関与を含めた妨害行為を調べる方針。金融庁は七日、法人としての同行と早川元常務らを告発していました。

 調べなどによると、妨害行為は大口融資先を担当する審査第五部の元次長が指示を出し、中心的役割を果たしており、稲葉元役員は指示、了承を与えていました。

 早川元常務は具体的な隠ぺい内容の報告を受け、岡崎元副頭取は改ざん議事録に決裁印を押していたといいます。

 UFJ銀は昨年八月からの金融庁の特別検査に際し、大口融資先の債務者区分判定に影響する重要資料を隠したり、議事録を改ざんしたりするなどの妨害を組織的にしていました。不良債権額を圧縮して見せ掛ける目的があったとされます。

 同行東京本部十五階の審査第五部にあった重要資料は段ボール箱百箱以上に詰められ、十四階に移動し、さらに三階に移されていました。

 昨年十月、同庁に内部関係者からとみられる情報提供があり、検査官が三階に隠された資料を見つけ、検査妨害が発覚しました。旧経営陣が大口融資先の財務状況などを審査した議事録のうち、特定企業への懸念を示した発言を削除するなどの改ざんや、コンピューター上のデータ移動なども判明しました。

 金融庁は検査忌避行為と認定。業務改善命令や一部業務停止命令を出しています。


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 検査忌避 金融機関が監督当局の検査に対し、書類を隠したり、虚偽報告したりして検査を妨害する行為。銀行法で禁じられており、違反した場合、個人は一年以下の懲役か三百万円以下の罰金、法人は二億円以下の罰金と規定されています。



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