2004年10月6日(水)「しんぶん赤旗」
国や日本道路公団などが発注する鋼鉄製の橋梁(きょうりょう)工事入札で談合が繰り返されていた独禁法違反(不当な取引制限)の疑いで、公正取引委員会は五日、三菱重工業(東京都港区)、新日本製鉄(千代田区)など三十数社と日本橋梁建設協会(中央区)を立ち入り検査しました。橋梁工事に使う免震装置(ゴム支承)の異常な高価格を指摘した本紙報道(二〇〇二年一月一日付)から二年十カ月。公取委は支承メーカーへの排除勧告などを経て橋梁工事談合にもメスを入れる事態になりました。
立ち入り検査を受けたのは、石川島播磨重工業(千代田区)、住友重機械工業(品川区)、三井造船(中央区)、日立造船(大阪市)、川崎重工業(神戸市)など大企業と橋梁専門メーカー。
各社は国土交通省や道路公団などが発注する鋼鉄製の橋の入札で、受注価格の低落などを防ぐため、各社の前年実績を目安に、事前に談合で落札予定企業や入札価格を決めるなどしていた疑いが持たれています。
大規模橋梁は、鋼鉄製とプレストレス・コンクリート(PC)製に分かれ、鋼鉄製橋梁の発注量は昨年度で約五十万トン。市場規模は、年間四千億円にものぼる巨大さです。
公取委は昨年九月、本紙が報道したゴム支承メーカーに排除勧告。昨年十二月には、プレストレス・コンクリート(PC)製の橋の入札で談合が行われていたとして、三井住友建設などに対する立ち入り検査に入りました。PC橋梁の談合では、道路公団発注の大型工事の落札率で平均98・22%と異常に高いことが日本共産党の穀田恵二衆院議員の質問で明らかになっています。
立ち入り検査を受けた各社は日本経団連に加盟する大企業。日本経団連は、公取委による課徴金の引き上げを含む独禁法改正案の提出に強く反発。その意向も受け自民党は先の通常国会で同改正案の提出を見送っています。
三菱重工業は「鉄構建設事業本部に公取委が入っているが、詳細が分からずコメントできない」、新日鉄は「調査中のためコメントは控えたい」などと話しています。