日本共産党

2004年10月5日(火)「しんぶん赤旗」

イラク核開発“証拠”ねつ造

NY紙、政府の情報操作を指摘

米大統領補佐官は知っていた


 【ワシントン=遠藤誠二】ライス米大統領補佐官(国家安全保障担当)は三日の米テレビのインタビューで、フセイン元イラク政権による核兵器開発の証拠としてブッシュ政権が示していたアルミ管に関し、イラク攻撃前に「情報機関内で論争があったことを知っていた」と発言しました。情報に異論があったことを知りながらイラクの核開発の脅威をあおったことを認めたもの。ブッシュ政権が情報を誇張、ねつ造してイラク戦争に突き進んだ過程がさらに明らかになりました。

 この問題は、三日付ニューヨーク・タイムズ紙がまず報道。米エネルギー省の担当者が、イラクで発見されたアルミ管は、核兵器開発用でなく小型ロケット用だったと考えられるとの見方を、ライス補佐官スタッフを介して同補佐官に伝えていたといいます。

 同紙によれば、イラクは二〇〇一年までに約六万本のアルミ管を輸入しました。中央情報局(CIA)の「ジョー」と呼ばれる人物らが同年四月、アルミ管は核兵器用ウラン濃縮のための遠心分離機用だとの報告を作成しました。

 しかしエネルギー省の核問題専門家は、アルミ管の大きさや、イラク側が公然と値引き交渉をしていたことなどから、これは地上発射かヘリコプター搭載のロケット砲弾製造用のものだとの見方でした。

 ライス補佐官は、この対立を知りながら、二〇〇二年九月のテレビ番組で、「高品質のアルミ管は核兵器開発、遠心分離機のみに適しているもの」と断定。チェイニー副大統領も同月、同様の発言をしました。

 その後、アルミ管は核開発用ではなかったことが確認されました。

 ライス氏は三日、「独裁者による核の脅威について過小評価した場合、大きな間違いを犯すことになる」と述べ、「基本的な判断は絶対正しかった。フセインは脅威だった」と断言しました。

 民主党のケリー大統領候補は同日、アルミ管問題をめぐる真相について「大統領は米国民とイラクに駐留している部隊に説明すべきだ」と語りました。



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