日本共産党

2004年10月1日(金)「しんぶん赤旗」

横浜母子死傷

事故予測できたが放置

地裁初公判で検察冒頭陳述 三菱の欠陥隠し指摘


 二〇〇二年一月、横浜市で三菱製大型車のタイヤが外れ母子三人が死傷した事故で、業務上過失致死傷罪に問われた三菱ふそう元市場品質部長の村川洋被告(58)と、元同部グループ長の三木広俊被告(56)の初公判が三十日、横浜地裁(小倉正三裁判長)で開かれました。

 同裁判は、歩行者をも巻き込む車両事故で、欠陥部品を長期間放置してきた自動車メーカーの製造物責任を問うものとして注目されます。

 検察側の冒頭陳述によると、同社内では、人身事故につながり、リコール(回収・無償修理)に該当するおそれが大きい不具合を「秘匿情報」としていました。

 前輪と車軸をつなぐハブの輪切り破損事故は九二年から多発。三菱はハブの強度不足を認識しながら秘匿し、原因は整備不良と主張してきました。九九年、広島県で起きたバス事故では、旧運輸省に「同種苦情なし。多発性はなく処置は不要」などと虚偽報告していました。

 重大事故を予測できたのにもかかわらず、リコールなどの安全対策を取らずに欠陥を放置したことで、横浜市での母子死傷事故が引き起こされたとしています。

 村川被告は「ハブが強度不足だとの認識はしていなかった」と述べ、三木被告も「いずれの不具合も整備不良を原因とするもの」と無罪を主張しました。


法廷で真実を

遺族がコメント

 タイヤ脱落事故で亡くなった岡本紫穂さん=当時(29)=の夫、明雄さんと母、増田陽子さんがコメントを発表しました。

 明雄さんは、「無罪を主張されるようですが、よく理解出来ません。ポート社長からの謝罪の申し入れは一体なんだったのでしょうか」と疑問を投げかけ、「私たちの願いは二度とこのような悲惨な事故が起きないようにしてもらいたいことです。犠牲は私たちだけでたくさんです。被告人の方にお願いですが法廷では真実を述べてください。真実が明らかになることが悲惨な事故の再発を防ぐ第一歩になるからです」と訴えています。

 三菱側に「制裁的損害賠償」を求める民事訴訟を起こしている増田さんは、「被告人らがいずれも罪状を否認したことに強い怒りを覚えます」とし、「いまだに民事上の責任も果たさず、刑事責任も否認する三菱自動車の無責任極まりない対応はいつまで続くのでしょうか。自動車メーカーの良心と誠意を示してもらいたい」としています。


カット

 タイヤ脱落母子死傷事故 二〇〇二年一月十日、横浜市瀬谷区で、時速五十キロで走行中の三菱製トレーラーの左前輪ハブが輪切り状に破断しタイヤが脱落。歩道を歩いていた岡本紫穂さん=当時(29)=を背後から直撃、死亡させ、長男=当時(4っ)=と二男=同(1っ)=に傷害を負わせました。三菱は脱落の原因をユーザー側の「整備不良」として今年三月までリコール(回収・無償修理)を届けませんでした。



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