日本共産党

2004年9月29日(水)「しんぶん赤旗」

サドル師勢力 選挙不参加

イラク

米軍攻撃激化に反発

本紙に表明 政治プロセスにも不信


 【カイロ=小泉大介】イラクのイスラム教シーア派の有力指導者ムクタダ・サドル師代理人は二十七日、本紙の電話取材にたいし、米軍の攻撃が激化する現状で、サドル師勢力が来年一月末までに実施が予定されている国民議会選挙に参加することはできないとのべました。イラク暫定政府は選挙の「正当性」を得るため、国民の間に根強い支持をもつサドル師勢力の参加を促してきましたが、同師側の今回の表明をはじめ、米国主導の政治プログラムそのものへの不信が急速に高まっています。

 サドル師のバグダッドの代理人の一人、アサド・トゥルキィ氏は「サドル師は米軍との停戦に向け真剣な態度で臨んできたが、米軍側はサドル師側近の逮捕に加え、サドルシティーやファルージャでイラク人への攻撃を激化させている。このような状況下で選挙に参加することはできない」と明言しました。

 サドル師勢力は八月、米軍が中南部のシーア派聖地ナジャフに大規模攻撃をおこなった際、同市中心部の聖廟(びょう)に立てこもり激しく抵抗しました。しかし同月末にはシーア派最高権威のシスタニ師の仲介もあり停戦に同意。その後、サドル師は武装抵抗から、「占領軍の撤退を主張するために選挙に参加することを決定した」(トゥルキィ氏)というように、選挙を軸とした政治プロセス参加による抵抗への路線転換をすすめてきました。

 しかし米軍は、サドル師勢力の拠点であるバグダッド北東部サドルシティーで連日、「掃討作戦」を継続、多数の民間人を死傷させており、イラク国民の間に反発が強まりました。

 米軍の攻撃がつづくなか、アラブ首長国連邦の衛星テレビ・アルアラビアは二十四日、サドル師自身が政治プロセスへの不参加を表明し、支持者に占領終結のためのデモをおこなうようよびかけたと伝えていました。

 サドル師勢力による今回の選挙不参加表明の背景には、同選挙の実施方法への反発もあります。

 汎アラブ紙アルハヤト二十七日付は、イラク暫定政府の監督機関である「諮問評議会」のメンバー、アルガブウリ氏のインタビュー記事を掲載。同氏は、選挙では個人の自由な立候補は認められず、有力政党や組織が協議し作成する複数の候補者リストから有権者が選択する方法になるだろうとのべました。

 また暫定政府の主要政党が談合し統一名簿を作成するとの報道もあります。

 これらの点に関してトゥルキィ氏は「サドル師勢力が、多様な政治勢力や独立派の立候補が排除される選挙に参加することは、米軍影響下の暫定政府を支持することになり認められない」と強調しました。



もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp