2004年9月25日(土)「しんぶん赤旗」
広島県と広島市が六月に制定した土砂などを適正に処理する条例が二十五日、施行されます。森林法では一ヘクタール未満の林地開発に許可が不要なため、届け出だけで森林などを伐採する無秩序な開発が後を絶ちません。広島市安佐北区白木町では、地元住民と日本共産党の粘り強い運動が、建設残土を大量に投棄してきた業者をいよいよ追い詰めるところまできました。
広島県・突田守生記者
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県の「土砂の適正処理に関する条例」は二千平方メートル以上について、市の「土砂堆積(たいせき)規制条例」は五百平方メートル以上について、森林に限らず埋め立てる場合に許可を必要とするもの。「大椿林道の緑と環境を守る会」の石川由美子会長らの粘り強い運動を日本共産党の中林よし子衆院議員(当時)や辻つねお県議、広島市議団(皆川けいし団長、五人)が全面的にバックアップしてきました。
大椿林道沿いの急峻(きゅうしゅん)な斜面に二〇〇一年八月ごろから、約一キロの間に〇・九ヘクタール前後の埋め立て地が五カ所もつくられ、一日に百台もの大型トラックが産業廃棄物の混入した建設残土をひっきりなしに搬入。下方にあった井戸の水が飲めなくなり、漁協関係者は「三篠川のアユが全滅した」と告発。直下に住む住民は「雨が降ると土砂崩れが起きないか不安で、まくら元にリュックを置いて寝ている」という状態でした。
昨年六月に辻県議と市議団が、七月に中林議員が現地を調査。八月には「守る会」の石川代表ら四人と市議団が上京して、中林議員とともに関係省庁と交渉。その結果、五カ所のうち隣接した二カ所について県は一ヘクタールを超える開発と認め、森林法違反として搬入中止と復旧工事を業者に命令。業者が放置したため県は今年二月、応急措置としてダム建設の行政代執行をおこない、事業費を業者に請求しました。
しかし、残る三カ所には残土搬入が続きました。「守る会」は昨年九月、約七千三百人分の署名簿をそえて「残土搬入中止と復旧工事を求める請願書」を提出。辻県議や市議団の奮闘によって六月、ようやく条例制定が実現しました。
施行を目前にして中林前議員と藤井敏子市議は十五日、搬入が続いている現地を調査。石川会長、辻県議、皆川団長とともに、埋め立て地の早急な防災工事と森林法の精神にのっとった条例の運用を県に申し入れました。上野司郎林務総室長は「条例の効果が上がるよう研究していきたい」と回答。無秩序な開発を許さない運動はいよいよ業者を追い詰めようとしています。