日本共産党

2004年9月15日(水)「しんぶん赤旗」

経済・財界気流

ダイエー処理

「救済」と「破壊」の分裂政治

暗闘の決算、国民につけ払い


 経営不振に陥った大手スーパー・ダイエーの処理をめぐり、経営側とメインバンク(主要取引銀行)側との攻防が続いています。銀行の「不良債権処理」を推進する小泉内閣・竹中路線の圧力のなかで進むダイエー処理の裏で、何が起きているのでしょうか。

  八月三十一日の夕方、ダイエーの高木邦夫社長とUFJ銀行の川俣喜昭専務の話し合いの中で高木社長は、「再生機構の支援を受けるわけにはいかない。経済産業省も、自主再建路線を支持してくれている」といい、産業再生機構の活用を改めて拒否したという。

  でも、一部の報道では、高木社長は機構活用に「やむなし」と、“陥落寸前”だったというじゃないか。

  いったい、この綱引きの舞台裏では何が起こっているの。

  ダイエーの再生機構活用は、UFJにとっては金融庁から突きつけられた課題なんだ。

隠ぺい発覚

  ある金融ジャーナリストは、「昨年の金融庁の検査のときに、他のメインバンク二行(三井住友、みずほ)が五割の引当金を積んでいるのに対し、UFJだけが三割しか積んでいなかった」といっていた。

  そこに、UFJのダイエー資料隠ぺいが発覚する。金融庁の検査チームは、行内の一室からダイエー関係資料を発見したんだ。UFJは、金融庁から多額の引当金の積み立てを求められた。

  来年三月までに「不良債権の半減」をめざす竹中路線のもとで、金融庁の圧力がUFJを追い込んだ格好だね。

  そうすると、ダイエー問題がUFJの行き詰まりの原因ともいえるんだね。

  ダイエーの処理を産業再生機構に委ねる場合、経営再建策が「抜本的」だと判断されると、会計上「不良債権」でなくなる。UFJは三菱東京との経営統合を前にして、不良債権を処理しておきたい。だから再生機構をなんとしても活用したがっているんだ。

  ダイエーにとって再生機構活用となれば、自主再建以上の大リストラを迫られ、経営が「破壊」されてしまう。できれば「回避」したいというのが高木社長だ。そして、それを後押しするのが経済産業省という構図になっている。

  どうして経済産業省は、ダイエーに肩入れしているの。

  経済産業省の責任が問われるからだ。ダイエーは二〇〇二年に「産業再生法」の適用を受けているが、当時のリストラ策にたいして、五億七千五百万円もの税金をまけてやったんだ。

  経済産業省が国民の税金で「救済」したってことか。

規定を変更

  しかも、当時の「産業再生法」は、銀行から債権放棄を受けた企業に対しては適用していなかった。それを過剰債務企業も対象に加えるように規定を変更した。その第一号適用企業がダイエーだった。

  それに、「産業再生法」の適用にあわせ、ダイエーのリストラ計画を支援するため、日本政策投資銀行がダイエーに八十億円の出資をしている。長期貸付金の残高も約百億円にのぼる。

  もし、今回の処理が再生機構の活用ということになれば、再生機構への「協力」を義務付けられている日本政策投資銀行は、出・融資のカット(放棄)を迫られる。

  政府の出資金で運営されている日本投資銀行の資金が毀損(きそん)してしまえば、結果として国民負担になるんだ。

  一見、経営側と銀行、金融庁と経済産業省とが「救済」と「破壊」で綱引きしているように見える。でも共通しているのは、この暗闘の決算のツケは国民に回されるってしかけだ。まったくけしからん話だ。



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