日本共産党

2004年9月11日(土)「しんぶん赤旗」

「学納金訴訟」大阪高裁

授業料など返還命令

消費者契約法適用外で初


 入学しなかったのに前納した入学金や授業料などを返還しないのは違法として、兵庫県内に住む元受験生の男女二人が大阪医科大(大阪府高槻市)と松蔭女子学院(神戸市灘区)を相手取り、総額約八百万円の返還を求めた訴訟の控訴審判決が十日、大阪高裁でありました。井垣敏生裁判長は「入学辞退者に授業料などを返還しないと定めた不返還特約は暴利行為で、公序良俗に反し無効」と述べ、請求をすべて棄却した一審判決の一部を取り消し、二大学に授業料など総額約六百六十万円の返還を命じる判決を言い渡しました。入学金については退けました。

 二○○一年四月に施行された消費者契約法が適用されない受験生については、一切返還を認めない判決がこれまで定着しており、一部とはいえ返還を命じたのは初めて。

 判決は、適正な入学金の水準について、宅地建物取引業法が手付金を代金の二割以下としていることが一応の基準になるとする初判断を示しました。その上で、いずれも返還の必要がないとしました。

 次に不返還特約について、「いわば不労所得を大学の財政運営の重要な要素とすることが社会的に相当かは疑問。憲法の教育を受ける権利から導かれる大学選択の自由を制約することになりかねない」と私大側の姿勢を厳しく批判。「大学側が優越的地位を利用し、浪人したくないという受験生の状況に乗じた一方的な制度だ」と結論付けました。



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