2004年9月10日(金)「しんぶん赤旗」
![]() 判決公判のため名古屋地裁に入る元 自治相の佐藤観樹被告=9日午前、 名古屋市中区 |
国から公設秘書給与をだまし取ったとして、詐欺罪に問われた元自治相で、民主党の両院議員総会長を務めた前衆院議員の佐藤観樹被告(62)の判決公判が九日、名古屋地裁でありました。伊藤新一郎裁判長は「高度な倫理性が求められる国会議員に対する信頼を裏切り、国費をだまし取った行為は非常に悪質」と述べ、懲役一年四月(求刑懲役二年六月)の実刑を言い渡しました。被告側は量刑不当として控訴しました。
秘書給与詐取事件で逮捕、起訴された国会議員五人のうち、有罪判決を受けたのは四人目。実刑は三人目ですが、閣僚経験者では初めてです。
伊藤裁判長は「他の議員が政策秘書給与に関して同様の行為をして刑事責任を問われていることを認識し、かつ周囲から名義借りをやめるように忠告されてもなおこれを継続した」と指摘。「詐取金額が非常に多額で、発覚後も口裏合わせを依頼するなど、犯行の態様も情状も誠によくない。刑の執行を猶予すべき事案とは言えない」としました。
判決によると、佐藤被告は二○○○年の衆院選直後、愛知県尾西市議会の前議長(66)=別のあっせん収賄罪で有罪確定=らと共謀。佐藤被告が中心となって、前議長の妻の名義を借り、公設第二秘書として採用したかのように装った虚偽の関係書類を衆院に提出。同年七月末から約二年八カ月間、秘書給与計約千七百万円をだまし取りました。佐藤被告は起訴事実を全面的に認めて謝罪。弁護側も争わず、「衆院議員を辞職し、政治活動からの引退も表明。詐取金額なども自主返納した」として、情状酌量を求めていました。
日本共産党の市田忠義書記局長は九日、佐藤観樹元自治相への実刑判決について次の談話を発表しました。
名古屋地裁は、佐藤観樹元衆議院議員の秘書給与詐取事件で実刑判決を下した。
佐藤元議員は、勤務実態のない女性を公設秘書に登録し、国から秘書給与をだましとり、流用していたものであり、法にもとづく厳正な処罰を下したことは当然である。国民の厳粛な信託をうけ国政にたずさわる国会議員の地位を悪用したことは重大であり、元自治大臣・「政治改革」担当大臣を務めてきた経緯にてらしても実刑判決はまぬがれない。
同時に、佐藤氏の事件が、中島・辻元事件など秘書給与詐取が政治問題となった後に継続して行われ、国民の政治不信を増幅した責任は重大だ。なぜこうした事態が放置され、改められなかったのか、所属政党である民主党としての究明と責任の明確化がもとめられる。