2004年9月9日(木)「しんぶん赤旗」
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「保証金を払えば低利で融資します」―。電話やファクスで融資をかたり、保証金をだまし取るヤミ金サギの被害が広がっています。
阿曽隆記者
「五十万円〜三千万円を即日融資」「実質年利3・72%。契約保険金(保証金)を支払えば無担保、無保証人でOK」
東京都渋谷区内に住所を置く「株式会社ユアーズ」という会社から、こんなファクスが大阪府八尾市で高齢者向けの弁当宅配業を経営する平野淳一さん(50)=仮名=に送られてきたのは七月の末でした。
資金繰りに困っていた平野さんは、「本当にこんな低い金利で貸してくれるのか」と半信半疑でしたが、迷ったあげく、一千万円の融資を申し込み、契約保険金の百万円と事務手数料三万円を振り込みました。
ところが融資はされず、「もう一度百万円振り込まなければ融資はできない」と相手の態度が豹変(ひょうへん)。頭が真っ白になった平野さんに、間髪を入れずに別の会社からファクスがきました。
東京都文京区の「マネークラフト」という株式会社が電話とファクスで融資を申し出てきました。
「年利3・21%、即日融資」「ヤミ金融ではありません」とうたうこの会社は、営業項目に「悪質業者の摘発」も掲げています。
![]() 平野さんに送られてきたマネークラフトの広告ファクス |
「ユアーズに振り込んだ百万円は必ず取り返してあげる」とまでいい、「百三万円の保証金を振り込んでもらえばすぐ融資する。ユアーズのような悪徳業者はわれわれも迷惑しており、許せない」などと言葉巧みに誘いました。平野さんはわらにもすがる思いで百三万円を振り込みましたが、またもや、さらに五十三万円を要求され、これも振り込みました。
しかし、融資は実行されず、平野さんは返金を要求しましたが、なかなか応じません。
数日間で二百六十万円をだまし取られた平野さん。「今考えるとみんなグルになっていたと思える。警察に被害届を出して一カ月になるが真剣に取り組んでくれているとは思えない。資金繰りもいっそう苦しくなった」と途方にくれます。
被害後は前よりもひんぱんにダイレクトメール、ダイレクトファクスが送られるようになったことも気味が悪いといいます。
サラ金、ヤミ金被害救済に取り組んでいる全国商工団体連合会事務局の今井誠さんは、「ヤミ金対策法で警察も少し厳しくなったために、ヤミ金も少しなりを潜めていたようですが、ここ数カ月でこうした保証金サギをはじめ、民商に似た名前や制度融資をかたるなど新手の悪質業者が増えています。サラ金などからの名簿の流出も考えられるので、借りている人は悪質業者のターゲットにされないよう注意が必要」と話しています。