2004年9月8日(水)「しんぶん赤旗」
日本の高い公共工事費の一因といわれる高い材料単価――。その単価調査を独占受注していた国土交通省所管の二財団に公正取引委員会が、独占禁止法違反(不当な取引制限)で七日までに課徴金納付命令を出しました。本紙が、両財団による公共工事単価調査の問題点を追及してから二年半。二財団に独占発注しつづけていた国や地方自治体など発注官庁の姿勢があらためて問われています。 山本豊彦記者
![]() ![]() 公正取引委員会の課徴金納付命令を受けた建設物価調査会(東京・中央区)と経済調査会(同) |
公取委が課徴金の納付命令を出したのは、経済調査会(東京都中央区)と建設物価調査会(同)。国や地方自治体などが発注する建設資材の単価調査業務の入札などで談合を繰り返していたとして、計約一億三千万円の課徴金納付命令が出されました。
両財団は関東地方の一都六県と長野、山梨両県などが発注する建設資材の単価調査の入札で談合し、二○○二年六月までの三年間に、二百十三物件、発注額計二十一億六千三百万円余を不正に受注していた――としています。
両財団の談合は財団だけの問題ではありません。単価調査の結果は、公共工事の予定価格を算定する基礎になるだけに、公共工事費を押し上げる結果になるからです。
両財団の単価調査独占は、本紙〇二年一月一日付でスクープしました。本紙は、両財団の単価調査独占のもとで実際より高い単価が報告され、それが日本の高い公共工事の一因となっていること――などを指摘しました。
その典型的ケースとしてとりあげたのが、高速道路の橋りょう工事に使われる免震装置のゴム支承。実際の取引価格の一・五倍の高値で報告され、この「差益」がゼネコンや資材メーカーに流れ、税金が食い物にされている実態を明らかにしました。
本紙報道後の〇二年六月、公取委は二財団に独禁法違反の疑いで立ち入り検査。同年九月には、ゴム支承メーカーにも立ち入り検査に入り、波紋が広がりました。その結果、公取委は昨年六月には二財団、九月にはゴム支承メーカーにそれぞれ独禁法違反で排除勧告。ゴム支承メーカーには今年七月、すでに課徴金納付命令を出していました。
公取委はゴム支承メーカーへの排除勧告書のなかで、公共工事の積算価格とゼネコンが買う実際の販売価格が大幅に乖離(かいり)していたため、官公庁が積算価格の引き下げを要求していた、と指摘。それを受けメーカー側は〇一年末、従来の価格から30%程度引き下げた、と記載しています。国土交通省が〇二年度までの五年間に購入したゴム支承は約五百五十七億円。単純に30%高かったとしても高値是正まで百四十億円もの差益がゼネコンなどに流れていた計算になります。
こうした一連の動きは本紙スクープが生み出したものですが、なお、課題は残されています。
国土交通省は二財団への独占発注について昨年六月、改善策を打ち出しましたが、両財団だけでなく、ゼネコンや資材メーカーの不当な利益についても調査し、必要なら損害を賠償させることも重要です。