2004年9月8日(水)「しんぶん赤旗」
![]() 暴風で屋根が吹き飛ばされた山口情報芸術センター=7日午後、山口市 |
長崎市付近に上陸した大型で強い台風18号は、九州から中・四国を暴風域に巻き込みながら七日午後、日本海に抜け、勢力を維持したまま同海上を北東に進みました。
気象庁の観測によると、広島市中区では午後二時二十分、観測史上最も速い最大瞬間風速六○・二メートルを記録。同区の平和記念公園で、原爆資料館東館の北側に立っている「被爆アオギリ」の木二本のうち一本が根こそぎ倒れました。
広島県宮島町にある世界遺産の厳島神社では、国宝の「左楽房」と呼ばれる建物が倒壊するなどの被害が出ました。
日本列島に上陸した台風は今年七個目で、観測史上最多。台風16号につづく二週連続の台風に、交通まひや停電、浸水・冠水被害が相次ぎました。警察庁の七日午後八時現在のまとめによると、死者は石川、岐阜山口、鹿児島四県で計四人、負傷者は二十六府県で計二百四十二人にのぼりました。
また、山口、広島両県で外国船二隻が遭難し、乗組員とみられる計五人の遺体が見つかり、残る二十一人が行方不明となっています。
九州電力によると、九州全体で百万戸以上が停電しました。
気象庁の観測によると、台風は七日午後九時現在、石川県輪島市の北北西約一七〇キロ付近の海上にあり、時速約八〇キロで北東に進んでいます。中心気圧は九六〇ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は三五メートルで、中心の南東側二八○キロ以内と北西側一五○キロ以内が暴風域。気象庁は、暴風、大雨、高波に厳重な警戒を呼び掛けています。
台風18号の影響で、徳島県上勝町では同日午後二時から三時までの一時間に四四ミリの激しい雨が降りました。