日本共産党

2004年9月7日(火)「しんぶん赤旗」

“サドル師、近く政治参加”

イラク 本紙電話取材に代理人

路線転換か、米軍の出方次第


 【カイロ=小泉大介】イラクのイスラム教シーア派指導者ムクタダ・サドル師のバグダッドでの代理人の一人、アサド・トゥルキィ氏は五日、本紙の電話取材に対し、「近い将来、サドル師はイラクの政治過程への参加計画を発表するだろう」とのべ、米占領体制への武装抵抗から、来年一月末が期限の直接選挙への参加などを軸にした政治的抵抗への路線転換が進行していることを認めました。

“協力の立場”

 サドル師勢力の政治過程参加問題では、一部報道では、すでに同師側がイラク暫定政府閣僚と接触を重ねているとされます。この点に関してトゥルキィ氏は「われわれは暫定政府発足当時から、イラク国民への奉仕と自由選挙の準備を条件に同政府に協力してもよいという立場を示していた」とのべました。

 従来から米占領に強硬に反発してきたサドル師と、これを支持する民兵勢力は八月五日以降、中南部ナジャフを中心に米軍の激しい攻撃にさらされるなか、これに強固に抵抗。しかし、シーア派最高権威シスタニ師の仲介で停戦に応じ、二十七日には立てこもっていたナジャフ中心部アリ廟(びょう)から退去し、同地での戦闘は現在は終息しています。

 ナジャフ停戦以後、側近らは、サドル師がイラク全土での停戦と、政治過程への参加をめざしていると表明してきました。

 一方でサドル師は三日、支持者に向けた声明で「米国は世界を支配しようとしているが、(サドル師を支持する民兵組織の)マハディ軍を支配することはできない」と強調。占領軍への抵抗の継続姿勢とともに、暫定政府の要求である民兵解体拒否の立場も崩しておらず、事態は依然として不透明さを残しています。

 ナジャフ停戦成立後も、米軍によるサドル師勢力への攻撃はバグダッド北東部サドルシティーなどで継続しています。

衝突の激化も

 同地のサドル師報道官は五日、カタールの衛星テレビ・アルジャジーラに対し、「米軍は現在も市民への無差別の銃撃を続けており、同軍がいっそうの流血と大量虐殺を望んでいるのは明らかだ」「米国はいまだテロリストの心境で、イラクを取り扱っている」とのべました。衝突のいっそうの激化の可能性さえ残されています。サドル師勢力の抵抗路線の転換が実際に行われるかどうかは、今後の米軍の出方が大きく左右しそうです。



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