2004年9月2日(木)「しんぶん赤旗」
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気象庁は一日夜、群馬、長野両県にまたがる浅間山(二、五六八メートル)が同日午後八時二分ごろ噴火したと発表しました。噴煙の高さは不明。山頂火口で小―中規模噴火が発生したとみられます。同庁は臨時火山情報を出し、今後の火山活動に注意するよう呼び掛けました。
軽井沢測候所は、大きな爆発音と空気の振動のほか、中腹以上で噴石を観測しました。大規模な噴火活動につながる可能性は小さいとみられています。
長野県などによると、ふもとの軽井沢町と御代田町などで人的被害の報告はないといいます。群馬県側の嬬恋村、長野原町、草津町でも被害は確認されていません。
浅間山は昨年二月、噴火としては一九九○年以来、十三年ぶりとなる微噴火を観測。今年も七月下旬から小さい地震の回数が増えるなど、やや活動が活発な状態が続いていました。
「ドーン」。避暑地の夜に、爆発音が鳴り響きました。噴火した浅間山のふもとでは一日夜、住民らが不安を募らせました。
長野県御代田町役場の男性職員は「ドーンという音が一回して、山腹に三、四カ所赤いものが見えた」と話しました。
同県軽井沢町の侭田郁夫総務課課長補佐(49)は爆発時、自宅に戻っていました。「午後八時ごろ、ドーンという打ち上げ花火のような音がして、ガラスが揺れた」。急いで役場に戻ると、電話がひっきりなしにかかり、職員約二十人が対応に追われました。
同町内の軽井沢浅間プリンスホテル。従業員の女性は「ボーンという音が一回だけ聞こえた。灰は降っていない」と落ち着いた様子で話しました。宿泊客は約三十人。フロントには心配した宿泊客から問い合わせが相次ぎました。
群馬県嬬恋村総務課の係長小嶋正さん(46)が山を見上げると、黒っぽい噴煙が上空に広がっていました。
浅間山のふもとに広がる別荘地帯からは、噴火直後から「避難する必要はあるのか」「今の状況を教えてほしい」といった問い合わせが役場に殺到。わずか三十分ほどで百件を超えたといいます。
浅間山 日本を代表する火山。有史以後の噴火でとくに大規模だったのは一一〇八年(天仁元年)と一七八三年(天明三年)の大噴火。中小規模の噴火は数えきれないほど起きています。最近では、一九七三年の比較的大きな噴火で関東地方の各県に降灰をもたらしました。一九一一年に、日本ではじめての火山観測所が設けられ、現在は、気象庁と東京大学地震研究所が常時観測をおこなっています。