2004年8月28日(土)「しんぶん赤旗」
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静岡県熱海市で開かれていた国鉄労働組合の第七十二回定期大会は二十七日、運動方針、決議を採択し閉幕しました。
討論では、千四十七人のJR採用差別事件について、「公正な補償」や「すべての関係当事者間の話し合い」を日本政府に一貫して求め、今年六月で六度目となるILO(国際労働機関)勧告を生かして早期解決をはかる方針を明確に掲げ、目に見える大衆行動を強化すべきだとの意見(北陸、近畿、秋田各地方本部、九州本部など)が続出しました。
名古屋地本代議員は、勧告が千四十七人問題の解決へ政府の責任を改めて強調したもので、国労がどう生かしていくかが問われていると指摘。九州本部の代議員も、いま一致できるのは勧告で、全体がまとまって行動を起こす時だと訴え、建交労ともタイアップした幅広い運動をやり遂げたいと語りました。
北陸地本の代議員は、千四十七人の解雇撤回・JRへの復帰が国鉄闘争の柱であり、十七年間たたかってきたいまこそ原点に戻った運動をしていく必要があるとのべ、政府の責任なくして解決はないと強調しました。
広島地本の代議員は、建交労鉄道本部(旧全動労)と事務局を構成し、駅頭の定例宣伝や繁華街デモ、共同と連帯の立場を内外に示してきたと紹介。見える攻めのたたかいを全国的に展開していく重要性をのべました。
東京地本の代議員も、千葉の松戸・東葛地域で建交労や地域の労組・団体、弁護士らとILO連絡会を結成し、初めて省庁交渉や地元国会議員への要請を実施してきた経験を報告。中央段階で国労と建交労が初めて共催した二十三日の歴史的な共同集会で終わらせず、共同の要請行動や交渉団確立を追求してほしいと要望しました。
住民の足、地方交通線を守る運動も交流しました。秋田地本からは、JRが一方的に強行した湯沢駅の無人化反対のたたかいを報告。周辺の関係自治体の人口約八万人のうち五万人余の署名を集め、湯沢市長もJRに要請、世論の広がりで一定の改善もかちとったとのべ、地域住民と利用者の要求を見すえ、営利第一のJRに向けた運動を強化していくと表明しました。
貨物の職場で労働者を競わせる成果主義賃金導入の動きが強まり、安全輸送を脅かされている実態を告発する発言がありました。
小泉内閣・与党や民主党が競い合う憲法改悪の狙いについて、平和と民主主義を守る労働組合が先頭に立ち、憲法九条を守るたたかいを展開し、「九条の会」のよびかけに呼応し、中央・地方から改憲阻止の運動をつくる発言(九州、広島など)も相次ぎました。
答弁に立った吉田進書記長は、運動方針案で政府責任が不明確との意見に対し、一年間の諸課題とたたかいの章で「政府の責任による解決を実現するための世論喚起をはかり…」とし、委員長あいさつでも明らかにしているとのべ、政府の責任による解決は「国労の基本的立場だと明確にしたい」と強調しました。
また、JR不採用事件に関する国労の「基本要求」(別掲)をもとに政府などに対応を求めるとして、要求を押し上げていくための全国的な大衆行動にただちに立ちあがり、建交労との連携も可能な限り追求してほしいとのべました。
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「JR不採用事件に関する国労基本要求」
(1)JR各社およびJR関連企業などの希望する者の雇用確保(2)JR各社に採用されていたならば得たであろう賃金および退職金相当額の支払い(3)JR各社に採用されていたならば継続されていたであろう厚生年金の回復―など五項目。