日本共産党

2004年8月25日(水)「しんぶん赤旗」

自治労連 「三位一体改革」どう考える?

200超える首長から意見

“弱い町村に混乱しわ寄せ”


 小泉内閣が地方の「構造改革」と称した「三位一体改革」をすすめている問題で、自治体労働者でつくる自治労連(全労連加盟)は、都道府県知事や市町村長にこの「改革」についての意見を求めました。これまでに十県知事、百九十四市区町村長が意見を寄せ、中間まとめを発表しました。

 「三位一体改革」は、いくらかの税源移譲と引き換えに、国庫補助負担金や地方交付税を大幅に削減しようと打ち出したもの。政府の抜本的な税源移譲がなければ、自治体を深刻な財政危機に陥れることが浮き彫りになっています。

 愛媛県の加戸守行知事は「その手法にはさまざまな問題を抱えている」と指摘。「『地方が元気になる改革』『自主財源を拡充する改革』『地方の自由度を拡大する改革』が目指すべき方向と考えており、地方の声が改革の具体的内容に十分反映されることが必要である」としています。

 島根県出雲市の西尾理弘市長は、国庫補助負担金や地方交付税の大幅削減について、「ひとえに国の財政再建のための財政理論だけを先行させたものであり、諸改革を懸命に進めている地方の実情への配慮に欠け、真の財政改革から大きく乖離(かいり)したものである」と批判しています。

 鹿児島県喜界町の加藤啓雄町長は「小規模で過疎地の自治体は税財源の移譲といっても課税客体が少なく…限界があり、非常に厳しい状況」と指摘。一島一町の離島のため、ゴミ処理、火葬場などを他自治体のように広域化もできないと訴えています。

 「改革」は、「立場の弱い町村に混乱のしわ寄せが集中している」(山形県A町長)、「各自治体に交付税の削減という痛みを押し付けただけで何の意味もありません」(群馬県C町長)、「私どものような規模の小さい財政力の低い町村の切り捨てであると考える」(長野県A村長)、「今までの国の失政と赤字を地方に押しつけた、単なる地方いじめの感をぬぐいきれない」(福井県三方町)などの意見が寄せられています。

 自治労連は、「改革」についての意見を自治体首長に求めるにあたり、「当面する地方税財政改革に対する自治労連の提言」を渡しています。「内容に賛同します」(和歌山県串本町)、「自治労連の提言はまったく同感である」(青森県小泊村)と、多くの共感の声が相次いでいます。

 「提言」は、「改革」が住民生活を支える施策のいっそうの後退をはじめ、自治体の存立にかかわる重大な影響がでると批判。地方税の財政改革は、地域の実情に即し住民の福祉と暮らし、地域を維持・発展させ、地方の裁量を拡大するものでなければならないとし、地方交付税削減を元に戻し、自治体に必要な本来の税財政改革に立ち返るべきだとしています。



もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp