2004年8月24日(火)「しんぶん赤旗」
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食料自給率ってどういうことですか。それを向上させるためには何が大切なのでしょうか。農産物の輸入はある程度仕方ないことだと思うのですが。
食料自給率とは、国民が一年で消費する食べ物を国内の生産でどのくらいまかなうことができるかという割合をいいます。例えば国内産が半分を占めれば年間の自給率は50%ということです。
自給率にはいくつかの計算方法があります。重量で計算したのが品目別自給率と穀物自給率。日本の食料自給率という場合は、どれくらいの熱量(カロリー)がとれるかを物差しに計算した自給率(カロリーベース)を指していいます。
二〇〇三年度の日本の食料自給率はわずか40%。主要国の中でも最低水準です。穀物自給率に至っては27%。食料自給率は一九六五年度には73%でしたが、今や大幅に落ち込みました。一億二千万人の国民の食料のうち、国内でまかなえるのは四千八百万人分だけで、残りは外国頼みという状態です。
諸外国の食料自給率を見ると、英国61%、ドイツ99%、フランス121%、米国122%、カナダ142%、オーストラリア265%(いずれも二〇〇一年)など。英国の場合、一九六〇年代に40%台に落ち込みましたが、国内生産の拡大策によって、八〇年代には70%台まで回復しました。
各国の数字を見ても分かるように、政治の責任で自国民の食料を可能な限り確保することは、当然のこと。「輸入は仕方ない」で済む問題ではありません。
ところが日本の歴代自民党政府がやってきたことは、農産物輸入とコメの減反の拡大。さらに価格暴落を抑制している価格保障政策を廃止し、法人など、ごく一握りの農家に農政の対象を絞り込もうとしているのが小泉内閣です。これでは国内生産と食料自給率の向上の道に逆行します。
ではどうして食料自給率を引き上げなければならないのか。消費者はまず何より、農薬や添加物の心配のない安全、安心な食を望んでいます。「日本が輸入している農作物が不作になったりしたら、日本に農作物が入ってこなくなります。そうした不安をなくすためにも、日本の国内でまかなえるようにすることが重要です」――農林水産省の「ガイドブック」ものべるように、食料の安定供給という点も重要です。
環境省が監修したパンフレットがおもしろいデータを紹介しています。
私たちの食卓に食べ物が届くまでに、船などどれだけの輸送エネルギーが使われているかを示す輸入食品の「フードマイレージ」という指標。食料の60%を輸入に頼っている日本は、米国の三倍以上のエネルギーを使って食品を手に入れているといいます。
パンフでは、遠くからエネルギー(石油)を使って運んでくるのではなく、近くでとれた旬のおいしい農産物を食べようという「地産地消」の動きが、地球温暖化防止にも役立つと説明します。食料自給率向上は、環境保全の面でも貢献するのです。
世界的には飢餓が広がり、世界規模での食料不足が懸念されており、自国の食料は自分たちでまかなうことが必要です。食料自給率の向上は待ったなしの課題なのです。