日本共産党

2004年8月23日(月)「しんぶん赤旗」

公立小中校舎 半数が耐震性に不安

災害時には避難場所

国、県責任で安心の学校に

“改修は最優先の課題です”


 全国の公立小中学校の半数がいぜん耐震性に不安がある(文科省調査)状態です。校舎の耐震化率は49・1%(前年同期46・6%)で2・5ポイント増にとどまっています。子どもたちが安心して通い、地域の避難場所の役割をもつ学校。耐震化率が77・2%の神奈川県と28・8%の香川県の現状をみてみました。


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耐震工事がすすむ松浪中学の校舎を視察する大宮義勝党市議=19日、神奈川・茅ケ崎市


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国政と結んだ運動で全国一位の耐震化率 神奈川

 神奈川県は、文部科学省が発表した調査結果で、公立小中学校施設の耐震改修の実施率が全国第一位となりました。

 県内の公立小中学校施設の全棟数は、四千六百九棟(今年四月一日現在)です。このうち、現在の新しい耐震基準にもとづいて一九八二年以降に建てられた耐震性のある建物が、千五百四十九棟、八一年以前に建てられた施設で耐震性があったり、すでに耐震補強済みの建物が、二千十一棟です。耐震性のある施設を合計すると、三千五百六十棟で、全棟数の77・2%を占めます。全国平均の49・1%をかなり上回っています。

 八一年以前建設の建物の耐震診断実施率は、89・2%で、静岡県に次いで全国第二位です。

 神奈川県は、地震の規模を示すマグニチュード8クラスの東海地震や同7クラスの神奈川県西部地震などの大規模地震の発生が切迫しているといわれ、災害時の避難場所にもなる学校施設の耐震化は急務の課題です。

 新日本婦人の会神奈川県本部の高浦福子常任委員は「学校施設の問題は老朽化、トイレの改修、耐震化など総合的に九三年ごろから運動を進め、私も、県議会の文教常任委員会で意見陳述しました。各支部が学校ウオッチングや懇談などを実施し、国政と結んだ運動で耐震化を進めることができました」と語ります。

 日本共産党国会議員団と各地方議員団は、父母・住民とともに粘り強く取り組んできました。

 国会では二〇〇三年一月の参院予算委員会で、参院神奈川選挙区の畑野君枝議員(当時)が、学校施設の耐震補強工事は、従来型の公共事業に比べ雇用などの経済波及効果が高いとした文科省の資料も示して推進を要求。井上美代参院議員(当時)らと連携した奮闘で国を動かし、学校施設整備費の耐震化対策予算は、〇三、〇四両年度とも増額されました。

 一方、県立高校、養護学校など神奈川県立の学校では、百五十棟が耐震調査も未実施で、大規模改修が必要なのに未実施の建物も約五十棟あるなど課題も残されています。

 日本共産党の、みわ智恵美県議は「県は、高校の施設改修には国の補助が出ないことなどを遅れの理由としています。公共事業の無駄遣いの中止など、予算の使い方を切り替えさせることが必要です」と話しています。神奈川県・岡田政彦記者


議長会も県補助要求 落壁は日常茶飯事 香川

 文部科学省によると公立小中学校の耐震化率で全国ワーストクラスが続く香川県。耐震補強を行った率は今年四月現在28・8%しかありません。しかし耐震診断を実施した率は62・9%となっており二〇〇三年度の8・6%に比べ大幅増となっています。

 香川県教育委員会は、「今回の診断には、優先度調査の件数も含まれており高くなっている。優先度調査をしたからには各市町で計画的に診断を進めていくよう指示する」と話しています。あくまで耐震診断や耐震補強の実施は各自治体主体でというのが県の姿勢です。日本共産党の白川容子県議の耐震化率の向上を求める質問に対して県は、「市町の負担を軽減し、耐震化を促進するためには補助率の引き上げが必要」とあくまで国の補助の拡充が必要との認識にとどまっています。

 学校施設の耐震診断について県費補助制度を求める動きが県市議会議長会から昨年六月、決議文としてあがりました。「学校施設の耐震診断・耐震補強に対する県費補助制度の創設に関する決議」は、耐震診断と耐震補強について「地方自治体にとって厳しい財政状況のなか難しい課題となっている」として県費補助を強く求めています。また高松市も香川県市長会として国庫補助の充実と県費補助制度の創設を国と県に要望しています。

 体育館の耐震化率は60%あるものの校舎全体となると22%に落ちる高松市では、来年度までにすべての校舎で耐震診断が行えるよう診断がすすめられています。高松市教育委員会は「体育館については避難場所として使われるので補強を急いでいる」といいます。

 ある小学校関係者は、「〇一年の芸予地震で小さいながら廊下や体育館にひびが入ってからいまだに直っていません。壁がぱらぱら落ちるのは日常茶飯事なんです。体育館だけ残して校舎は倒れるというのがみんなのうわさです」

 災害時に避難場所となる学校の耐震化は子どもと県民を守るうえでも最優先課題です。白川県議は言います。

 「自治体からは『地震そのものより診断の方が怖い』という声さえあがっている。学校現場からは校舎がボロボロという声があちこちからあがっている。予算の使いみちを見直すべきです。議長会などからあがっている県費補助制度をつくるようがんばりたい」と話しています。香川県・浜崎好人記者



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