2004年8月22日(日)「しんぶん赤旗」
アテネ五輪のアーチェリー男子個人戦(19日)で銀メダルに輝いた「中年の星」―41歳の山本博選手は、埼玉・大宮開成高校の保健体育教師でアーチェリー部の監督です。同校に教え子たちを訪ねました。
栗原千鶴記者、山形将史記者
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「よくオヤジギャグを言う明るい先生です」。生徒たちは、そう口々に語ります。
「準決勝で同点になったときは、すごくドキドキした」というのは二年生の斎藤晃くん。対戦相手が自分と同じ十七歳だったこともあって、「ぼくたちと同じ年齢の選手とたたかっている姿をテレビで見て、スポーツに年は関係ないと思った」といいます。
副部長の養田つかささん(二年生)は「先生はアーチェリーをやっているときと、そうでないときのギャップが激しい。的に集中しているときは真剣そのもの。自分の世界に入っていますね」。
山本監督は、時間さえあれば射場で弓をひき、放課後は生徒と一緒に練習を重ねてきました。競技への集中の仕方や気持ちの切り替えなど、大事なものを自らの背中で生徒に示してきました。
つねに「社会でも通用する人になってほしい」と、生徒に語りかけるそうです。風向きなど、その場で状況判断が必要なアーチェリーを通し、自分の頭で考え、行動するよう指導してきました。
養田さんが、あるエピソードを教えてくれました。「自分のフォームを写した写真を携帯メールで遠征中の先生に送ったんです。そうしたら、すぐ返事をくれて。いつも私たちのことを考えてくれてるって、うれしかった」。ときにはバーベキューなどで部の親ぼくをはかり、「先生は料理がうまい」という評判も。
いま生徒たちはこんな気持ちでいっぱいです。「次は私たちがインターハイでいい成績を出して恩返しする番だねって」