2004年8月20日(金)「しんぶん赤旗」
台風15号と前線に伴う豪雨災害で、愛媛県災害対策本部の十九日午後二時現在のまとめによると、県東部の四国中央市と新居浜市では死者四人、負傷者は二人となりました。百七十五世帯に避難勧告が出されている新居浜市では、三棟が全壊し、九十一世帯が床上浸水、三百七十八世帯に床下浸水の被害が出ています。四国中央市では六十六世帯に避難勧告が出されていましたが全世帯が帰宅、六世帯の十五人が自主避難しています。
新居浜市では市東部の山沿いの数カ所で土石流が発生。民家を押しつぶしたり、家の中に大量に流れ込んだ状況が広範囲に見られます。
日本共産党は十九日、岡崎ひろし、山岡みみの両市議が現地調査と被災住民らを見舞い、要望を聞きました。多喜浜公民館に避難している会社員の堤治さん(44)は「会社から家に帰ってみると、玄関から入れず窓から入った。電気製品は全く使えない。とにかく土砂をのけないと生活できない。行政はできるだけのことをしてほしい」と語っていました。
要望を受けた両市議は市に対し、生活再建支援や激震災害指定などを要請。応対した市長と助役は激震災害指定について「できるかどうか調査中」と答えました。
台風15号の影響による大雨で、JR予讃線は関川―中萩間(愛媛県新居浜市)で、土砂崩れや電柱倒壊、通信ケーブル損傷などの被害を受け、一部では崩れた土砂で約三十メートルにわたりレールや枕木が流されました。JR四国によると、復旧までには数日かかる見込み。
台風15号の影響による大雨で道路が寸断され、高知県大川村の宿泊施設「自然教育センター白滝」で十七日から孤立状態となっていた高知市の学習塾の小学六年生百三十四人と職員らが十九日午後、ヘリコプターで救出されました。大雨の降り続く中、電気も水もない生活を強いられた児童たちは「真っ暗で怖かった」と話し、出迎えた両親らと抱き合って無事を喜びました。
ストレス性の腹痛を訴えた女児以外は、おおむね元気といいます。
上杉皐さん(12)は「雨音と雷がすごく、真っ暗で怖かった。いつ帰れるか不安で眠れなかった。帰りのバスに乗ったら全身の力が抜けてしまった」とほっとした様子。
塾講師の山本典弘さん(33)は「ホームシックになる子供もいた。講師が冗談を言ったりお菓子を配ったりして励ました。みんな無事で何より」と振り返りました。
十七日の集中豪雨で大きな被害を受けた香川県西讃地方では、被害のつめ跡を残しました。
被害の大きかった大野原町は、朝方に強い雨が降りましたが午後からは晴れ間ものぞく空模様となり、五郷の災害現場では、前日までの濁流もおさまり、パワーショベルによる土砂や流木の除去作業が始まりました。
自主避難していた集会所に濁流が流れ込み行方不明となっていた佐伯佳代さん(45)と義母の俊枝さん(72)は、十九日、相次いで発見されましたが死亡が確認されました。
午後五時現在、同付近の住民百七十世帯に避難勧告が出ています。
観音寺市落合では谷川の沢があふれて家屋に被害が出たり、ため池が決壊する被害が出ました。日本共産党の安藤清高観音寺市議は災害現場を視察、地域の要望を聞いて回りました。
安藤市議は、「農業関係で被害が出ており、原状回復の要望が強かった。至急要望を取りまとめたい」と話しました。