2004年8月4日(水)「しんぶん赤旗」
広島で開催されている原水爆禁止二〇〇四年世界大会国際会議は三日午後、三つの分科会に分かれて討論を深めました。
| 第1分科会 |
「核兵器廃絶の展望と課題―被爆六十年・NPT再検討会議にむけて」をテーマとする第一分科会では、被爆六十周年で核不拡散条約(NPT)再検討会議が開かれる来年に向けて、核保有国に核廃絶を迫る世界的な世論づくりを盛り上げていこうと活発に意見交換しました。
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マレーシアのフセイン・ハニフ大使は、来年のNPT再検討会議が「決定的に重要だ」と述べ、同会議で核兵器廃絶を求める世界の多数派の意見を反映させるためにも「日本の非政府組織(NGO)の役割は大きい」と参加者を激励しました。「核兵器の被害を知っている日本は、反核運動のリーダーとして戦争のない平和な世界のために力を発揮してほしい」と期待を表明しました。
インド・核軍縮平和連合のスクラ・セン氏は、米国に包括的核実験禁止条約(CTBT)を批准させるためにも、「イラク占領反対と結びつけ、反核ネットワークを広げていこう」と呼びかけました。
埼玉県の吉野良司氏は、二〇〇〇年のNPT再検討会議で核保有国が核廃絶の「明確な約束」をした背景には、世界中から千人の非政府組織が詰めかけ、日本でも核廃絶アピール署名が五千万筆に達していたことがあると指摘。「いま、核兵器の廃絶を」署名をNPT再検討会議に向けてさらに広げようと呼びかけました。
| 第2分科会 |
「核兵器も戦争もない世界のために、草の根の行動をひろげよう」のテーマで開かれた第二分科会では、世界各地の米軍基地に反対する草の根運動の連帯と共同、日本の憲法改悪を阻止する運動の進め方などをめぐり活発な討論が行われました。
日本反核法律家協会の井上正信氏は、「憲法改悪を阻止し、軍事同盟に代わる地域的な安全保障政策を推進し、米国の危険な核政策と安全保障政策への追従をきっぱり放棄することは、核兵器廃絶と国際的な平和の発展に大きく貢献することだ」と発言しました。
フォーカス・オン・ザ・グローバルサウスのベンジャミン・モクサム氏は、インターネットを通して地球規模で広がる米軍基地反対運動に言及。「超大国の横暴に対抗する最良の手段は草の根の運動のネットワークを広げることだ」と呼びかけました。
沖縄、神奈川の代表も、各県での米軍基地拡張に反対する運動について報告しました。
韓国・参与連帯のイ・キョンジュ氏は、質問に答えて最近の韓国の変化を説明。米国が北朝鮮を核攻撃の対象とする新核戦略を提示したことや二〇〇三年の戦争の危機を経て、「南北統一すれば平和が来る」という従来の平和論が「平和のもとで生きる権利」に変わり、国会議員の構成も含めて変化しているとし、参加者に感銘を与えました。
| 第3分科会 |
「被爆者・世界の核被害者と連帯しよう」をテーマにした第三分科会では、核被害の補償を求める国際的運動をすすめるなど、日本でのさまざまな被爆者援護の運動が報告されました。
米国の水爆実験で被ばくしたマーシャル諸島を調査している大学院生の竹峰誠一郎さんは、一般に知られている以上に被ばく地域があるとのべ、核兵器は開発の過程でも核被害をおこすと指摘。現地では、核被害に立ち向かう新たな動きがおきていると報告しました。
物理学者の沢田昭二さんは、原爆症の認定を求める集団訴訟のなかで残留放射線などによる内部被ばくの影響を明らかにしてきたことの国際的意義を強調。マーシャル諸島での異常出産のデータも示して、米国の残留放射線被害の隠ぺい政策を批判しました。
青年たちも次々と発言。留学中の米国で、原爆少女のサダコ像の修復募金運動にとりくんだ経験や、高校生平和ゼミナールを結成したことが紹介されました。
「ビキニ水爆実験は国際法違反であると市民法廷を開いた」(静岡県)「ビキニ水爆実験によるマグロ漁船への被害を風化させないと民間団体で実態調査をはじめ、県議会でも補償問題をとりあげている」(高知県)「原爆症認定の集団訴訟に連携して、民医連として県内の被爆者の実態調査をしている」(千葉県)との発言がありました。