日本共産党

2004年8月2日(月)「しんぶん赤旗」

ゆうPress

農業は甘くなかった

米づくり1年生の姉弟、“一人前”めざし、父が大きくみえる日々。


 「農業を継ぎます」とこの春、農業への道を選択した姉弟がいます。北海道比布(ぴっぷ)町の中野千尋さん(26)と中野譲さん(23)の二人。千尋さんは、日本共産党員の両親の姿をみながら、「私も学びたい」と二年前に入党しました。高齢化と後継者不足のなか、「町の希望」と歓迎されている二人を訪ねました。菅野尚夫記者

 千尋さんは、春に田植えをした稲の生育具合を見つめていいます。「結果が出るのは一年に一度。秋の収穫のときです。やってきたことが良かったのか半信半疑…」

 この三月、介護員として働いていた特別養護老人ホームを辞め、農業を継ぐ決意をしました。老いていく父親を見て「継ぐなら今しかない」と決めたのです。「他の仕事を経験していたから、農業の素晴らしさが分かりました。命のもとになる食糧を作る。良い仕事だと思いました」

しびれる手

 譲さんは農業大学で農業経済を学び、この春、卒業しました。「中学、高校と農業を継ぐ気はなく、厳しい現実のことを考えると(農業には)かかわりたくなかった。体の弱い母さんが、農作業に出る姿を見て、助けなければと思いました」

 きつい、汚い、厳しいの3Kの仕事に、覚悟はしていました。「想像を超えていた」と二人は口をそろえます。「懲役刑をうけているほどつらい。棒のようになる足、長靴が重い。あぜの草刈りで手がしびれました。はしが握れずスプーンでご飯を食べました」(千尋さん)。「何をやったら良いのか分からない。なめてかかっていた自分の甘さを思い知らされました。同じ仕事をしているようで、(父親は)力の使い方がうまい。僕らはやみくもに、ただがむしゃらにやっている。親の背中が大きく見えた」(譲さん)

絶やさずに

 今年の春、農作業は田んぼに積もった雪よけから始まりました。土を耕し、種をまき、苗を作り、田植え。青い稲穂を見渡して千尋さんは言いました。

 「農家に育ったとはいえ、種まき、田植え、稲刈りという農家のイベントしか私の頭にはありませんでした。稲刈りまで何をしなければならないのか皆目分からない。刈り取るまでは不安です」

 譲さんは、農業を継いでからの四カ月間を振りかえります。「親は一度も農業を継げといったことはありませんでした。やってみて、たくさん受け継ぐことがあることを知りました。『農家を絶やしてはいけない』と実感しています」


二人の胸の内

中野千尋さん 共産党が絶対必要

 今、一番確信していることは、「農家には共産党は絶対に必要な存在」です。参院選挙で農作業の合間に、アナウンサーをしました。農業を基幹的な生産部門に位置付けること、食料自給率を早期に50%台に回復すること、地域や農家の条件に応じた家族経営などを支援するなどの政策が、心に染みるように分かりました。

 親がなぜ共産党の活動に熱心なのか、理解が深くなり、農業も共産党も身近になりました。輸入に頼らないで安心安全の食べ物を作る、この道を歩みつづけたい。

中野 譲さん 決断してよかった

 今は必死ですが、踏み出してみて「決断してよかった」と思います。一人前になるには五年、十年とかかることを実感する毎日。農業をつぶさないことが当面の目標です。

 父が元気なうちは、磨いてきた米作りの技を教えてもらえます。

 姉も一緒にできることで張り合いがあるし、一人だとくじけて投げていたと思います。


後継者、ありがたい

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 佐竹春彦・比布町農協組合長(64)のメッセージ 譲さんが大学に入るときに、私も推薦をしました。学んだ成果を地域に戻って生かすことになったのは、うれしいことです。

 農業後継者は、町の農業者の二割ほど。後継者のいない高齢者にとって先が見えず、あきらめもあります。そんななかで、農協青年部に入ってくれてありがたい。頑張ってやってください。



比布町の現状

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 石狩川の清流が流れる自然豊かな人口約四千七百人の町です。イチゴと稲作が中心。農業就業者は一九九四年には二千人を超えていましたが、二〇〇三年三月末で千七百七十二人に減りました。

 農業就業者の38%が六十五歳以上の高齢者。新規就農青年は昨年六人。ここ数年は、数人にすぎず、後継者不足に苦しんでいます。



お悩みHunter

A君と付き合うが、B君も好きになった

自分と相手を大事にして

  現在、A君と一年ほど付き合っています。A君との出会いは、高校の友達だったB君からの紹介でした。このほどB君に相談に乗ってもらい、まじめで誠実な人柄が好きになりました。B君には彼女がいます。二人の男性の間で揺らいでいます。(セイ子 21歳。東京都)

  付き合っていたり、結婚したりしていても、別の人を好きになることはあると思う。でも、好きだから即付き合うことにはなりません。パートナーでも、フリーに恋愛していいというカップルもいますが、それは実際にはしんどいことが多いものです。なぜなら、人と付き合うということは、「自分だけを見てほしい」ということだから。

 A君とどんな付き合いなのかはわかりませんが、好きなのなら、そのことを大事にしてほしい。あなたの気持ちだけで、A君やB君を振り回せば、人の気持ちを傷つけることになってしまいます。まじめで誠実なB君を悩ますことにもなるでしょう。

 恋愛は、自分と相手を大事にすること。相手を大事にすることは、自分を大事にする基本です。

 今、一人になれなかったり、次々と相手を変えていく「恋愛依存症」の人が増えています。何か自分のなかに空洞のようなものがあって、寂しい。自分に自信がないために、愛しているといわれたい、人の付き合ってる人を奪いたいと思ってしまう。それは、相手を利用している関係で、利用しているつもりが、利用されていたりもするのです。

 これでは、自分がどんどん迷い道にはまりこみます。あなたは二十一歳。恋愛のトレーニング中です。二人の間で揺らぐのはいいけれど、どうしたらいいか考える土台に、人の気持ちや悲しみを知ってほしい。自分と向き合ってほしい。


 精神科医 上村順子さん 山口大学医学部卒。代々木病院、松沢病院などで勤務。99年からめだかメンタルクリニック院長。


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