2004年7月31日(土)「しんぶん赤旗」
一九九七年六月、三重県・志摩半島上空で香港発名古屋行きの日航706便(MD11型機)が降下中に乱高下し、乗客・乗員十四人が死傷した事故で、業務上過失致死傷罪に問われた同機の高本孝一機長(54)の判決公判が名古屋地裁でありました。石山要示裁判長は無罪(求刑禁固一年六月)をいい渡しました。
![]() 乱高下事故に遭遇したあと、駐機する日航706便=1997年6月9日、名古屋空港 |
石山裁判長は、機長の操縦操作が事故に関係していたとしながら、重大事故に「直ちに結びつく可能性があるとまで認識し得たとはいえない」として、重大事故につながる予見はできなかったことを認めました。
検察側が運輸省・事故調査委員会(当時)の事故調査報告書を鑑定書として申請し、裁判所が採用したことについては、「準鑑定書としての証拠能力を有する」として、事故調査を犯罪捜査に利用しないという国際民間航空機関(ICAO)の民間航空条約第13付属書の目的に反する判断をしました。
乗客・乗員が死傷したことについては、「シートベルト着用の指示を守らなかったのが死傷につながった」としました。
同裁判は、ハイテク化された大型旅客機の操縦をめぐって機長の刑事責任が初めて問われました。また、検察側が申請した事故調の調査報告書が「鑑定書」として採用され、事故調査委員が証人として証言するなど異例の裁判となりました。